私の「私的録音録画小委員会中間整理に関する意見」(パブリックコメント)

私の「私的録音録画小委員会中間整理に関する意見」、ギリギリで書いてなんとか提出しました。しかし、資料もちゃんと読み込む時間がなかったり、文献を当たる時間がなかったりで、かなり不完全燃焼のまま制限時間いっぱいいっぱいとなってしまいました。でも、提出しないよりはいいよね。



私的録音録画小委員会中間整理に関する意見

1. 個人/団体の別:個人

2. 氏名/団体名(団体の場合は、代表者の氏名も御記入下さい。):XXXX

3. 住所:XXXXXXXXXXXXXXXXXXX

4. 連絡先(電話番号、電子メールアドレスなど):XXXXXXXXX

5. 該当ページおよび項目名:

  a. 104ページの「第30条の適用範囲からの除外」の項目
  b. 105ページの「第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目
  c. 59ページの「ファイル交換ソフトを利用した私的録音録画の現状について」の項目
  d. 104ページの「検討結果」の項目
  e. 116ページから119ページの「第3節 補償の必要性について 3.補償の必要性の有無」の項目

6. 意見:以下、該当ページおよび項目ごとに記載


a. 104ページの「第30条の適用範囲からの除外」の項目

この項目について、私は反対の意見を提出いたします。

昨今のブロードバンド・インターネット環境やバーチャルデスクトップなどの技術によって、「ストリーミング」と「ダウンロード」は、技術上全く同じものとはいえませんが、「ストリーミング」と「ダウンロード」を使ってコンテンツを楽しむユーザ側からみると、コンテンツの楽しみ方にはそれが「ストリーミング」であっても「ダウンロード」であってもその差を感じられなくなるほどに技術は進んでいると思います。その時のハードウエア資源や帯域資源、コンテンツをどう提供するかの演出、即時性などにより、「ストリーミング」にするか「ダウンロード」にするかなどが選ばれるようになってきています。これを法律的に違うものとして扱い、その使用に異なった規制がかけられるようになると、そのコンテンツを提供するのにほんとうによい方法が選択できなくなってしまう可能性があります。それは、ひいてはよいコンテンツを多くの人々に届ける機会を失ってしまうことにもなると思います。

また、国際的に統一された著作権に対する法律がまだ不整備であることも考慮しなければならないと思います。インターネットに国境はありません(壁を作っている国はあるみたいですが)。今、日本で私が見ている/聞いているコンテンツは、それが制作された国の著作権保護法が適用されるべきなのでしょうか? そのコンテンツが発信されている国の著作権保護法が適用されるべきなのでしょうか? 発信さきにいくつもミラーサイトがあった場合はどうなるのでしょうか? コンテンツを見ている/聞いている国日本の著作権保護法が適用されるべきなのでしょうか? ある国の法律で違法なことが他所の国で違法とは限らないし、またその逆もあり得ることだと思います。日本が「適法マーク」を定めても、他所の国がそれを適用する見込みは薄いでしょう。全く法律が同じ国なんてないのではと思うからです。それに、そのようなことがらの制定・普及には、大きなお金が動きますし政治も働きます、他所の国から持ってきてそれを採用するくらいなら、自国で“起こす”方が、よいとか、益がある、と考えるのではないかなと思います。そんなこともあり、海外サイトが日本の著作権法を適用し、日本の著作権法に基づいて適法マークを付ける期待は薄いと思います。そして、正当な理由で適法マークを採用できなかったサイトがあったとしても、それの理由をわたしたちは知る由もなく、不当に「適法なサイト」を遠ざけてしまうことになる可能性もあるのではないか、と思います。


b. 105ページの「第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目

この項目について、私は反対の意見を提出いたします。

デジタル技術の革新によって、私たちは高度な知識や技術を持たなくても、民生機で簡単に音楽や画像や映像や文書の、高品質な複製ができるようになりました。その技術たるや、どれがオリジナルなのかがわからないほどです。ここに、どうやって、どれが複製されたものだとかどれが違法か合法かなどということが判断できるのでしょうか? それに、どんなに技術が進んでも、それは所詮人の作ったものです、世の中にはそんな技術的にかけられた規制を取り外して一儲けしようと企む人がいるかと思うのですが、そんな人が作った「違法」に見えない違法なコンテンツが、違法であるということを、見破る術は、わたしたち普通の人々にはありません。結果として、違法な者を手助けすることになってしまうのではないかと思います。


c. 59ページの「ファイル交換ソフトを利用した私的録音録画の現状について」の項目

この項目について、私は是非を判断できないでいます。よって、立法化は時期尚早ではないかと思います。

「違法アップロードによる被害」とされるものが、一体どれくらいあるのか。私は、自分を納得させることができるようなデータを見たことがありません。統計データとして示されたものが本当に実態を反映しているものだと思えない節があります。それは、私の感覚ととてもかけ離れていると思えるからです。ここで示された統計データは、どちらかと言えば印象操作のために作られているものがあるようにすら思います。

また、違法サイトによって、ある一部分の売り上げは落ちているかもしれないけれど、そこで浮いたお金が、例えばライブに行くことだとか別な形でその業界に還元されていることもあるかもしれません。そして、その結果、そのアーティストにとってはなにか、幸せなサークルが出来上がっていることになっているかもしれませんそういうことも含めて議論しないと、問題の真意は見えてこないような気がします。


d. 104ページの「検討結果」の項目

この項目について、私は反対の意見を提出いたします。

現段階で想定されている「ダウンロード違法化」は、それを意図していなかったのに結果としてそうなってしまった、り、知識や技術のない一般ユーザーを、潜在的違法ユーザーに仕立ててしまうものであるように感じます。それは公平な法律であるとは思えません。

潜在的違法ユーザーの「違法ダウンロードを行ったかもしれない」という意識につけ込む詐欺や恐喝をする者が現われる可能性もあります。自分自身も、海外から、そのようなメールを受け取ったことがあります。私は幸い、この問題を前から知っており相談できる人も知り合いにおりましたので事なき得たのですが、昨今の「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」にだまされてしまう人の多さから判断すると、やはりこの手の詐欺にだまされてしまう人もいるのではないか、と思います。

また、コンテンツを違法にアップロードする人の事情をちょっと鑑みてみますと、著作権者を困らせたり悲しい思いをさせたいと思ってやっている人、よりも、著作権者またはその遺族がそのコンテンツを死蔵していたり、その気はなくてもなんらかの理由で市場に出回る機会がなかったり、地理的および政治的な理由でそのコンテンツに触れる機会が得られていない状況を、なんとかしようとしてのアップロードといったケースが多いような気がします。昨今、ロングテール、超流通といった、ネットやノンパッケージ流通の普及などによる、経済的に合理的なモデルが発展しつつあります。そういった新しいモデルに移行しないで、古い流通形態やコンテンツ販売モデルに固執している業界にも、問題があるように思います。


e. 116ページから119ページの「第3節 補償の必要性について 3.補償の必要性の有無」の項目

この項目について、私は、現在のところ結論を出すに至るほど十分に議論が尽くされていないと感じています。なので、反対いたします。

一旦自分が所有したコンテンツは、どう使おうと自分の勝手だ、というつもりはありません。しかし、あるコンテンツに対して、すべての人が同じ感想や感情を抱くのではないように、その楽しみ方も多様化しつつあります。今までは、時間的に地理的に楽しむことが不可能であったコンテンツが、技術に支えられてプレイスシフト、タイムシフトが可能になったのは、自分にとってはとてもありがたいことだと思っています。

しかし、そうやって自分のライフスタイルにあわせてコンテンツを楽しむことが違法だと言われると、ちょっと寂しい思いがします。もしそれで、コンテンツ制作者が悲しい思いをするのであれば、私も考えなければならないと思いますが…。プレイスシフトとタイムシフトを、どこまでどれだけ許すか、といったことについて、まだちゃんと議論が尽くされていないような気がします。

私は、自分の見たいテレビが放送される時間帯に家にいられることが滅多にありません。たいていは録画しておいて後で自分の見られる時間に見ます。それが、「経済的不利益」になるので補償金を支払いなさい、というのは、納得できません。


以上です。