「日本文化は、なぜブームで終るのか。」#1

2007年3月21日の朝日新聞の朝刊の20面全面に、「日本文化は、なぜブームで終るのか。」という見出しのついた意見広告が掲載されました*1。広告主は「著作権問題を考える創作者団体協議会」。見出しの他、意見主文と、各協賛団体のなんらかの代表者格(理事長とか会長とか)の方の意見も掲載されていました*2

この問題についてちょっと関心のあるところなので、この記事だけ切り抜いておいて後でゆっくりと読んでみたのですが…すみません、この意見広告で「著作権問題を考える創作者団体協議会」はこの記事を読んだ人に何を理解してもらいたかったのか、ちょっと理解できませんでした。理解どころか、次から次へと疑問が沸き上ってくる…。自分では「彼らはこういうことが言いたいのだな」と思っていた(理解したつもりになっていただけだったんですね)ことさえも「?!」となる始末でした。

これはもう、自分の日本語の読解力の低さによるもので全く情けないのですが、自らの後学のために、そして誰かこれを目にした人が私の学びの手助けをしてくださることがあるかもしれないということも期待しつつ、ここに、自分がこの記事を読んで何を考えたのかどう思ったのかを記しておこうと思います。

広告中央にあったコピーと主文は以下のとおり。

日本文化は、なぜブームで終るのか。

著作権って、いったい何でしょう?
それは、著作者が小説や映画・音楽など、自分の著作物から得られるイメージや
利益を保護するために、他人がその著作物を無断でコピーすることを禁じる権利のこと。
ただ著作権が保護される期間には限りがあって、国際的な条約により著作者が生きている間と、
その没後二世代(子と孫)までの「著作者の没後50年間」と決められています。
現在では欧米のほとんどの国で「没後70年間」までに延長されています。
しかし日本では、いまだ「没後50年間」のまま。保護期間に20年間も差があるため、
欧米の国々と互いの著作物をやりとりするときに、大きな不公平が生まれています。
日本の文化が世界の文化と同等に扱われるために。わたしたちは著作権の保護期間が一日も早く、
国際的なレベルである「著作者の没後70年間」までに延長されることを願っています。
著作権は、著作者にとっては創作の糧となる大切な権利であるとともに、
日本にとっては夢や誇り、そして大きな可能性を秘めた宝物なのです。
著作権を大切にすること。それは日本の文化を大切にすること。
著作権の保護期間延長に、どうかご理解とご協力をお願いいたします。
日本文化を、永く愛するために。

えーと、著作権って「他人がその著作物を無断でコピーすることを禁じる権利のこと」だったのですか? 私は、著作権って「『これは自分の著作物です』と主張することができる権利」だと思っていました…。「他人がその著作物を無断でコピーすることを禁じる権利のこと」は著作権保護法、とかじゃ、ないですか?

保護期間に20年間差があるとどんな不公平が生まれるのでしょうか? それは、誰に対してのどんな不公平なのでしょうか? もしその不公平が、著作者に対して起るものであるのなら、著作者を苦しめたり悲しくさせたり、著作者の創作意欲を殺ぐものであるのなら、なんとかしなければならないと思うのですが、実際どうなのでしょう? 実際、著作権保護期間延長に賛成の方は、この点を延長賛成の理由として挙げられるのですが、自覚的著作者でない私にはこの不公平がよくわかりません。もっとわかりやすく説明して下さる方はいらっしゃいませんか? また、資料等はありませんか…?

保護期間が欧米と同じ「没後70年間」になったら「日本の文化が世界の文化と同等に扱われる」のでしょうか? 何を持って同等とするのか明記も定義もされていないので、この文章の意味がよくわかりませんでした。そして、「没後70年間」はいわゆる「レベル」ではないと思います。「没後70年間」より低いことはレベルが低いとか、「没後70年間」より高いことはレバルが高いとか、これもどこにも明記も定義もされていません。言うならば、「没後70年間」はいちスラッシュホールドです。その設定をどこにするかということだと思います。「没後70年間」以下過ぎるとなんらかの弊害があり、「没後70年間」以上過ぎるとまた弊害があるのでしょう、何事も“過ぎる”と害があるように。その適正な設定をどこにするかということではないですか? レベルではないですよね?

著作権は、著作者にとっては創作の糧となる大切な権利である」、これはまったくそのとおりだと、思います(私の思うところの「著作権」で、ですが)。「日本にとっては夢や誇り、そして大きな可能性を秘めた宝物なのです」、うむ、こちらも、輸入大国日本が現在、自信を持って輸出しているもののひとつであるものが「コンテンツ」であるということからも、これには賛同します。しかし「著作権を大切にすること。それは日本の文化を大切にすること」、これは…ちょっと飛躍しすぎていて私には理解できません。そもそも、著作権そのものには国もなにもないはずでは?

著作権の保護期間を延長した方がいいと思っている方の、その延長した方がいい理由が、私には理解できません。納得のいく理由を教えていただきたく思います。そうすれは、理解も、協力も、惜しみませんから。現在のところ私は、著作権の保護期間を延長しない方がいい理由という方は理解できまたその理由に賛同しますので、

私は、著作権の保護期間延長に、反対です。

*1:同日の讀売新聞朝刊にも掲載されていたそうです。

*2:ちなみに、全面広告掲載料は、朝日新聞HPの「朝日新聞広告シュミレーター」によると…えっ、99,150,000円?!