Spoon Market SB/09S @ 笹塚ボウル

gamme2009-09-18


いつもこのイベントはお友達と行きたいのだけれど、今年はお友達がインフルエンザになっちゃったり、職場でインフルエンザが大流行でその対応に追われててこれなかったりとか(←保育園の先生)、翌日スケートボードの大会なので前日オールはキツいとか(私は怪我してて不参加を決めていた)、で、残念、ひとりで行きました。でも、ひとりで行った残念感が全くないイベントでした。あー楽しかった!


今年はボーリング場で開催とのこと、どんなふうになっているんだろうと思いながら地図を片手にボーリング場の入り口に着いてみると、わりと普通のクラブイベント風に入り口に机が出してあって女の子が2人座ってました。こんばんわーと言いながらチケットを手渡して、タイムテーブルとかフライヤーとかを貰って階段を下ろうとすると「あ、会場は上です」と言われました。普通クラブイベントとかだと地下とか多いから、惰性で階段を下っていました(笑)

少々暗めの階段、っていうのはまあどこも一緒か…なんて思いながら階段を上っていくと、暗い階段の向こうにガラスのドアが見えました。そのドアの向こうはオレンジ色の光で光っていました。こういうシチュエーションでドアの向こうが明るいっていうのはあんまりない! たいてい重たいドアがあって(防音のため)、そのドアを開けるとさらに暗いっていう感じが多いのに。

ドアを押すとオレンジ色の光と共にいろんな人のおしゃべりする声や女の子の歌う声がさわわっと流れてきて耳いっぱいになりました。みな手にグラスとかミニボトルを持って、誰かとおしゃべりしたり、手を振ったり、音楽に合わせて体を揺らしたりして。なんかみんな明るい。空間の明るさだけじゃない明るさがありました。部屋の遠くへ目をやるとそこにはたしかにボーリングのレーンがあって、ボーリングのボールがピンに当たって弾ける音が聞こえてきました。んん、視界の上の方で何かが動いた…と思ってそちらに目を移すと、小さなチャームがドアを開けた風で揺れていました。

しばらく、その雰囲気をぼおうっとそれらを眺めていたら、足下にはふわふわっと白い風船が流れてきて。「ああっすみませんっ!」と、踊っていたお姉さんがそれを足と長いスカートの裾でそっと蹴って壁の方へと押やってくれました。それでも時々人いきれに流されて風船はふわふわ足下を転がってて。みんな、それを踏んじゃわないようにそそそっと壁の方へと足で除けつつ歩いたり踊ったりしていました。そうして誰かと目が合うと、それが知らない人であっても、ちょっと照れくさそうに笑い合ったり、して。

入り口でもらったフロアガイドを見ながらボーリングレーンの方へ行ってみると、ボーリングができるレーンではもうボーリングで大盛り上がりしていました。その横に、だだーんとステージが組まれていました。ドラムセットやマイクスタンド、キーボードのスタンドや照明のスタンドが鈍く光っていてステージは小さな要塞のよう。普通のライブハウスと違って後ろはだだっぴろく開いているし左右も開いている感じがまた要塞っぽさを醸し出していました。天井はふつうのライブハウスっぽく、低め。ボーリングは上方向に球、飛ばないもんね。要塞の正面の想定観客席には赤い絨毯が敷かれていて、次のステージを待つ風な人、ただのんびりしたい人、めいめい足を伸ばして座ったり寝っ転がったりしていました。どこにもそうは書いてないのだけれど、なんかみんな靴を脱いで上がっていました(笑)靴履いたままの人もいたけれど、誰かがそれをたしなめるでもなく、ほんと、みんな思い思いにという感じでした。

ステージでのライブが始まる前に、その上の階を覗きに行ってみました。小さなスペースを有効活用するようにしてお店が出ていたり、展示が行われている空間。お店の人と、お店の前にいた人と時折話ながら眺めて歩きました(買わない客ですみませんでした(^_^;) でも、楽しい話から「へーなるほど!」っていうような話までして、ほんとよい時間を過ごせました。ありがとうございました!)。

その中に、切り絵の展示があって。ちょうど友人が mixiで切り絵を始めたといってときどき写真をアップしていたのですが、まだ実物を見たことがなかった。あ、これだこれだ、と思うのと同時に、うわこれはなんだ!?的な驚きがありました。細かい、だけじゃなくて、細かさとダイナミックさが小さな紙面に凝縮されて世界を作ってる! 遠くで見るのと近くで見るのとまた別な感動がある不思議な製作物でした。絵で描いたのとまた違う雰囲気が確かにあったなあ。あれは実物見ないとわからないなあと思いました。

上の階は椅子とかくつろげるスペースもあって、ときどきこっちに来て休もうなんて最初思っていたのだけれど、結局ずっと下のフロアーにいました、今思い出してみると。

で、下のフロアー。ライブ。あとでタイムテーブルを見てみたら、私がちょうどきたときにライブをやっていたのはマキュバロウだった模様。そのころまだ私はうかうかうろうろしていたので、ちゃんと全部聞いてないや。でも、マキュバロウはライブで聞いたことがあるので聞けばわかるはずなのだけれど…。「SPOON MARKET EDITION」となっていたので、いつもと違う感じで演っていたのかな。

そうだ、そのときに主催者な人のひとりヒサヨさんにお会いしたのでした。もう、いい感じのご機嫌さんでした。イベント当日、なんて、主催者さんはド疲れておられる頃かと思うのですが、すごいいい笑顔してました。それでもう今日のイベントは8割方「いいイベント」決定です。主催者が楽しくないイベントなんてイベントじゃないのだ。それでそのときこそこそっと、土岐さんのライブ、佐野さんのライブで鍵盤弾いてた渡辺シュンスケさんが鍵盤弾くんだよ、と、教えてもらったのでした。

で、ね、その土岐麻子さんのライブがすごいよかったのでした! シュンスケさんとパーカッションの方(お名前失念)とボーカルだけの編成で。オルガンは想いっきり電気なわけだからこれはアコースティックっていうんじゃないと思うのだけど、一般的に「アコースティック・ライブ」って言ったらイメージするものがあった気がします。そして、プラスのグルーヴ。文字通りお客さんはとても近かったわけだけれど、そこにいる人たちがそこに居ないと成り立たなかったなあ、と思わせる流れがありました。私は、後ろの方で、ボーリングのボールを置く棚に両肘ついて寄りかかって見ていたのだけれど、あんまり気持ち良すぎてたまに、肘が、がくっ、と折れそうになるときがあって。そうするとなんか同じようなタイミングで、視界にいる誰か(知らない人です)も、がく、とかなっていたりしてね(笑)あー同じだあなんて思って、もうますますいい気持ちになるのでした。途中から、歌詞がぼやけてくるくらい、楽器と声がとけあって、ときどきある単語だけがこつんこつんとに残り心に残るような感じでした。誰かの話すのを聞きながらそのまますうっと寝入っちゃうときの気持ち良さ、みたいな。最後の曲が終わって拍手をしたときに、あちこちから漏れ聞こえたため息に込められた想いは人それぞれだと思うのですが、やっぱり、ため息ものでした。

Sweet Vacationもよかった! CDでは聞いていたけど、ライブで聞くのは初めてでした。ライブではあんな風に演るんだね。ほとんど電気なサウンドなのにデジデジした冷たい雰囲気にならないのは、ひとえに、Mayちゃんの声と雰囲気のおかげなんだろうなと思いました。Mayちゃんいい子って聞いていたけどホントにいい子だったなー。MCとか、ちゃんとお客さんの方向いてた。あと、こちらのステージはレーザー光線とかぴかぴかぐるぐるで、それも実は楽しかったです。ボーリングレーンの上にあるモニタ(たぶん、普段はスコアを表示しているものと思われる)にもV流して、それがたくさんあってVでもあり照明でもありになっていました。

ステージでのライブが終わると、ラウンジの方から音が聞こえてきて、グラスの中が空っぽになった人も含めてそちらに人が移動していく。そしてまたライブが始まるとステージの方へと移動する…というのを繰り返して音の流れてくる方へ移動しているみたいでした。そして、夜中過ぎても全然人減らないどころかかえって増えてくる。

そう、だって、トリが本イベント主宰者のtokyo pinsalocksのライブなのだから!なんとなく時間になったら会場じゅうの人がなんとなくステージの方へ集まりだす。いいよね、あの少しずつみんなわくわくしている感じ。

tokyo pinsalocksの3人は、まだステージ前がざわざわしているときにレーンの裏手から出てきて(ほとんど全出演者がこのレーンの裏のことをMCで言及していた。すごいメカメカしてて圧巻なんだって)それからセットの後ろに3人で車座になってしゃがんで、何か話をしているみたいでした。これから始めるライブの打ち合わせか、それとも何か他の打ち合わせか。特にひそひそしている風でもなく、でも、“表”のお客さんたちの喧噪から少し離れたところにいる “裏”っぽさがありました。その風景がなんか良くって。もし目に映るものパシャパシャ写真を撮っていたとして、で、その中から一枚だけ選べって言われたら、私はこの風景を選ぶと思います。

tokyo pinsalocksのライブは圧巻だった!ステージのセッティングしてある場所の特性上ステージの後ろの方まで音が広がる不思議な空間に、ピンサロックスの鉄板のリズム隊の音がよく似合っていました。要塞のようなセットから水の中にドライアイスを入れたときにぬあああっと流れ出てくる白煙のように音がぬああああああっとリズム流れ出てきて広がっていく感じ。ぽかんと開いた空間に負けてないサウンド。まさにSpoon Market 09スペシャルライブって感じでした! ピンサロックスのライブってそういえば今まで同じライブがないかも。会場を味方にする演奏ができるバンドなのかも。CDだけ聞いているとこんな一過性のあるバンドだなんて思えないだろうな。なので、tokyo pinsalocksのライブに行った事がない人はライブにいくといいと思います。

…そんなんだったので、普段は一晩じゅうクラブにいたって全くお酒は飲まないんだけど、今日はもう朝までいること決定だったしそれに足が痛いから踊らないしってこともあって、ワインを飲みつつ、音楽に、どこかのだれかの話声(たって、何の話をしているのかはわからない)に耳を傾けてぼーっと過ごしていました。でも全然つまんなくなかった。イベント主催者のtokyo pinsalocksの3人がとても楽しそうにお客さんと話したり進行しているのを見ているのは、これからイベントを控えていた私をすごく勇気付けてくれたしワクワクもしました。ワタシも、こんな幸せな空間を作りたいなあ、来てくれた人がひとばんじゅう楽しめる時間をプレゼントしたいなあ、と。あっ、あとね、ちょっとすごく大好きな人が来ていたんだよね会場に。その人が他の人と話をしていたり(何を話ているのかは聞こえないけど)、笑ったり(は、ときどき聞こえてきた)、タバコを吸ったりしているのが、ときどき視界に入ってきて(じっと観察するのは悪いなと思ってなるべく見ないようにしていたんだけど、そんなに広くない空間なんだもん見えちゃうんだもん)、その度にドキドキしたりして。そうすると足もズキズキ痛くなったりして(笑)。ぼーっとしつつもなんとも落ち着かない一夜、なのでした。(って、これもなんか文化祭っぽいよね!)


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