近藤智洋 & ザ・バンドファミリア「二つの鼓動」レコ発ライヴ@下北沢 CLUB Que

7時半からを間違って7時からだと思って早めにQue周辺に着いてしまい、30分ほど普段はあまり行かない北口方面を探検…のつもりが、古本屋に足を踏み入れてしまい、ギリギリまで古本屋にいました。今考えると、せっかくゆっくりできた時間だったのだからコーヒーとか飲んで時間をつぶすとかすればよかったな。でもステキなバタフライ・エフェクトがあって…こりゃ帰りが遅くなるかなーと思って、社に一本メール入れとこと思って、Queの外でメールを打っていたら、来るかもなあ会えたらいいなあーと思っていた人に、偶然会う事ができました。ラッキー!でした。

帰りは、終電⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡でしたけど(危なかった!)


近藤さんは、一人で(弾き語り)っていうのは何度か聞いたことがあり、二人でってとかも聞いたことがあり、GHEEEでっていうバンドでも聞いたことがあったのですが、私は残念ながらPEALOUTの近藤さんはライブで聞いたことがありません。なので、今日、バンドな近藤さんを聞くのは初めて。なので、とても楽しみにしていました。


その前に、『二つの鼓動』について。

初めて『二つの鼓動』を聞いたとき、その、PEALOUTのともGHEEEのとも、その他の私の知ってる近藤さんの音と全然違う音でとてもびっくりしました。でも、聞き終わるとそれはどうにも近藤さんで。それはどこからくるのかなあと思っていました。あっこのギターの感じは近藤さんだ、とか、この詞は近藤さんっぽいな、とか、そういうところからきていると思うのですが。っていうか当たり前だよね、どっちも近藤さんなんだもの。私は近藤さんっていう人をよく知らないのだけれど、私の中に確実に、「これは近藤さん」的なものが、この『二つの鼓動』から出来上がっていました。


今日は、『二つの鼓動』レコ発ツーアのファイナル。ちょっと遅めにスタートしました。ザ・ファミリアのバンドメンバーが先にステージに出そろったところで、近藤さん登場。拍手の中、辺りを見回して大きく息を吸い込む仕草はGHEEEでは見られないもの、で、近藤さんってこんな顔をする人なのか…と思いました。その拍手が鳴り止まないうちに演奏が始まりました。

最初は『二つの鼓動』からの曲をだだーっと。ライブが楽しみだったので、あんまり聞き込まないようにしていた曲達ですが、いくつかは近藤さんの弾き語りの時に聞いていた曲で、メロディーと歌詞は耳に馴染んでいるものもありました。その曲のバンドバージョン。初めて『二つの鼓動』でバンドバージョンを聞いたとき、その弾き語りの時との印象の違いにビックリしたものですが、今日はまた改めて、そのグルーヴィーバージョンに驚かされました。さすが近藤さん率いるバンド、その演奏はもう申し分なく上手く、それだけで感動できるものだったのですが、そこに、ライブツアーを経て加わった個人の色がもうあのアルバムにパケージされているときから全然変わって、もっと長く低くうねるような、低いまま流れていくようなサウンドになっていました。Queっていう箱の特性かもしれませんが。ギターの感じが、どちらかというと近藤さんに似ている音で、GHEEEでは全く違うギターが2本、っていう感じで聞いていたので、ザ・ファミリアのギターサウンドはまた新鮮でした。パーカッションのポップな音がポップになり過ぎていない感じがすごいよかったです。こんなのもあるんだー!って。

『二つの鼓動』、ついこの間買ったばかりなので、(ついこの間発売されたばかりだから)まだたくさん聞いたわけじゃないのに、ステージで歌っている近藤さんが歌っているのを聞いていたら、自分がとてもたくさん歌詞を覚えていることに気が付きました。近藤さんの歌はそういうことが多いかも、です。GHEEEの歌も、最初に覚えられるのは近藤さんの詞の方が多い、かも。

「二つの鼓動」は、近藤さんがソロで歌っているのを何度も聞いて、ほんとうに全部覚えてしまいました。でも、『二つの鼓動』の「二つの鼓動」は、ソロのと全然違う!ので、最初『二つの鼓動』の出だしを聞いたときはわからないくらいでした。今日、バンドファミリアを目と耳で同時に感じてわかった、『二つの鼓動』の「二つの鼓動」は、バンドファミリアの曲なのだなあ、と。近藤さんひとりじゃできない「二つの鼓動」なのだと思いました。近藤さんいつも全国旅してて歌ってて、たぶんその街分の、そこで聞いた人分の「二つの鼓動」があると思います。それと同じように、近藤さん一人の「二つの鼓動」があって、バンドファミリアな「二つの鼓動」があるじゃないかなあ。

ライブって、そんな私のじゃないのを分けてもらえる機会なのかもしれないですね。もしかしたら、私のだったかもしれないの、を。

1stアルバムの曲も何曲か演ってくれました。こちらのバンドバージョンはほんとうに初めて聞くものばかりで新鮮でした。新鮮さと、でもどこか懐かしさと。あれ、この懐かしさは…近藤さんっぽさと同義なのかな、とか思いました。

♪ わんわんわんわんわん、にゃーにゃーにゃー、のコール&レスポンスなんて、日本広しといえどもこんなことをできるのはNHKの歌のおねえさん&おにいさんと、KLEVAと、近藤智洋だけではないかと(笑)! リズムもなかなか凝っていたので、ついていくのに必至で、気が付いたら手がグーになっていました。握りこぶしを握りしめていいオトナが♪わんわんわんわんわん、にゃーにゃーにゃー(笑)すごい楽しかった!です。

子供のときに魔法の言葉ってなかった?と聞く、近藤さん。ああ、あの曲のことだな、と思いつつ近藤さんの言葉に耳を傾けつつ、私は私の魔法の言葉を思い出していました。ほんとうは、思い出したのはもっとずっと前なんだけどね。ライブでこの曲を聞いたときだったか、『二つの鼓動』を聞いたときだったかは忘れてしまったけど。ときどきちょっとできたら思い出して見るといいと思う、という近藤さん。そのMCが、もう近藤さんの歌の言葉になっているみたいでした。思い出せた人も思い出せていない人も、近藤さんの「魔法」に耳を傾けている光景は、もう、それだけで、ここに何か魔法が働いているような感じがしました。

アンコール、で、近藤さんとザ・ファミリアなみなさん、Tシャツを着て出てこられたのはお約束。そのちょっと照れくさ加減に会場があったかくなる感じとか、なんかいいなと思いました。今日はナックの日(?)ということで、ナックのMy Sharonaを演り始めたときは、マイシャローナがあんまりにも近藤さんに似合わなくてでもかっこよくて、良いもん聞けたなー!と思いました(笑)マイシャローナは途中までしかやんなかったけど、まるまる聞いてみたかったかもー、です(笑)

アンコールを2度やってくれて、もうないかなないよね、と思いつつ、去りがたい雰囲気に押されてずっと拍手を辞めれないでいたら、3度目のアンコールがありました。近藤さんがステージに出てきてくれて、また一番最初にしたときのように会場を見回してすう、と息を吸い込んで、会場にいる皆に短くお礼の言葉を述べてから、「一番好きなバンドのコピーをやります」と言って、ギター1本で演奏を始めました。

その曲は私の知っている曲でした。PEALOUTの曲でした。私が2曲しか覚えていないPEALOUTの曲のうちの、1曲の、「feel」。当時、この曲を私に教えてくれた人が、2曲だけCDに焼いて送ってくれたのです。その友人はもう今この世にいないのですが。

そして私は思いました。ああそうか、近藤さんの一番好きなバンドってPEALOUTなんだ。そして今の近藤さんにとってPEALOUTの曲を演奏することはコピーなんだ。

そこかしこから近藤さんと一緒に歌う声が聞こえてきて、私も歌っている自分に気が付きました。そおっとあたりを見回してみると、涙ぐんでいる人もいました。近藤さん、もしかして、ずっと、PEALOUTの曲をお客さんの前で演奏してなかったんじゃないかなあ、と思いました。やがて近藤さん、マイクを背に回してもっとステージギリギリに立って歌い出しました。お客さんの声ももっとさっきよりもはっきりと聞こえてきました。その、一緒に歌っている人が多かったのに驚きました。英語の歌なのですが。近藤さんのPEALOUTのときからのファンの人たちが、近藤さんの「一番好きなバンドのコピーをやります」に応えている…こんなことってあるんだ、こんな関係があるんだ。PEALOUTに幕を引いて前に進んだ近藤さん。でも忘れてないよ、と近藤さん。それが PEALOUTのファンに、ファンだった人に、どれだけやさしい響きであることか。

Do you feel the echo of love?

うん、確かに。それはとてもとても素敵な、あるアーティストとファンの歌声でした。ずっと続くといいなときっと誰もが思っていたと思います。でも静かに終わりはやってきて、近藤さんは手を振ってステージから去り、客電が灯りました。こんなに去りがたいライブはありませんでした。そして、こんなに、またこのライブに戻ってきたい、くるんだ、と思ったライブはありませんでした。