SUEMITSU & THE SUEMITH Grind Piano Recital 008 "Shock on The Piano" @ 赤坂BLITZ

去年の今頃Liquidroomで見たSuemitsuさんのライブは一夜限りのワンマンでした。今回は、2ndアルバム発ツアー。大阪、名古屋と回ってファイナルが東京です。うーん、Suemitsuさんの人気を考えるともっと他の都市でもやってもいいと思うんだけどなー。あの感動、あの興奮を、もっといろんな街で起こして欲しいと思いました。

ちなみに、初・新装赤坂BLITZ、でした。旧BLITZには1度しか来たことがなかったです。新装赤坂BLITZは、SHIBUYA-AXみたいな感じ。ステージも天井も高くて、音がよく抜けそうな感じ。




整理番号、結構遅い番号だったのに、中に入ってロッカーに荷物を預けてドリンクをもらってホールに入ってみれば、ステージ向かって右は2列目を確保できました。ステージ向かって左=Sumemitsuさんが座る方、が、どどっと混んでいました。ぐるりと客席を見渡してみれば、相変わらず年齢層が広い。母娘、父息子連れがけっこう目立ちました。お父さんお母さんにオールスタンダィングは辛いかと思いましたが…。どっかに座れるところがあったかな? 私の前は、ごっつめのお兄ちゃん4〜5人のグループ。右隣は、KISSのTシャツを着たお姉さん。後ろは、音大生風の男女数人のグループで、連休までに決めなければならない“課題曲”をどれにしようか友達に相談していました。

ステージには、去年と同じヴェートーベン。場内には、オケやピアノコンチェルトがかかっていました。

やがて、第九がかかって、おっそろそろかなと思ったら第九が大きくなって客電が落ちました。前回あった場内アナウンスは、普通の場内アナウンスだったです。会場から手拍子が上がり、ヴェートーベンがメラメラと燃えていき。前回も見た演出だけどどきどきしました。

オケが、ジャン!と終るタイミングでばさあっと幕が落ち、ステージから白い閃光が散って、その光と共にピアノの音が辺りの空気を揺らし、胸に突き刺さりました。これだよ、これ! やっぱりピアノは楽器の王様だ!の1曲目が始まりました。

2ndアルバムの曲は、殆どの曲がシングルカットできそうな、ライブを意識して作られたような曲が多いな、という印象がありました。なので、実は、アルバムを普通に聞いているとちょっとお腹いっぱい感がありました。なんか急かされているような気分になる、ような…。あ、なので、ジムでトレッドミルとかで聞く用のiPod shuffleにはバッチリ装備されています(^_^;) しかし、というか、やっぱり、というか、これらの曲はライブで聞くと映えるわあ! 1曲目の「Rock a Nova」、Suemitsuさんが自身のHPでの全曲紹介で「去年の初めてのワンマンライブの時に感じたことをストレートに表現した」と語っていました。その、感じたこと、ストレートに、を、ほんとにストレートに出しました!って感じな曲なのです。ライブの幕開けに相応しい曲。

んん、でも、出だし、Suemitusさんはちょっと緊張していたかなーと思いました。パブリックイメージは強面で無愛想でってなイメージすらあるのですが。最初の3曲目くらいまで脇目もふらずに走っ走り切った、という感じでした。そこで短いMCを挟んで、ちょっと肩の力が抜けてからの演奏の方が、最初の疾走感バリバリな演奏よりも鳥肌モノのスゴさがあったなあ! 1stからの曲ってこともあったかな。あと、これは、The Suemithの力も大きいかなあ。ボーカルとピアノ以外、つまり、The Suemithはみんなリズム隊みたいな編成感がありました。ギターも、おいしいリフはピアノが持っていってしまうしね(^_^;) でも、Suemitsuさんの絶大なる信頼を得ているんだなあということがビリビリ伝わるよな、サポートに徹したギターとベースとドラム。三位一体で、ボーカルとピアノに、時には挑んで時にはがっつり支えて、という、緊張感。基本的にこの4人編成で演奏しているときは、アルバムに収録されているアレンジからそう変わりはなかったのですが、とはいえ「The Island March」の出だしのちょっと長めのドラムライン、ちょっとなのにあの迫力!で、ドラムの柏倉タカシさんのスゴさに背筋が伸びたし、クラムボンじゃ見られないよな、カラダ全体でベースを弾くミトさん、リズム隊ギターに徹しつつもギターでないと表現できないよなラインはしっかりギターを主張する鈴木シュンスケさん、それぞれが、ライブならではの、ライブじゃないと伝わらないよな瞬間を作り出していていました。

ピアノはスタンウェイのグランドで、閉じてて、マイクで音を拾っていました。それでも2列目くらいだったら、ごんごん音が来たけどね。でも、最初の方、ピアノとボーカルの拾い方がイマイチだったかなー。もっと大きくてもいいのになー、と思いました。後半、いつの間にか直っていました。

途中、短いインターミッションがあってステージが暗転すると、スタッフさんが中央に、ごろごろとモニターアンプを出してきて。おや、誰かゲストボーカルでも入るのかな、と思っていたら、そこからは「ちょっとアコースティックでお届けします」とSuemitsuさん。そして、Suemitsuさんならでは、ですが、アコースティックと言って舞台に登場してきたのはヴァイオリンでした! ヴァイオリニストはのだめオケにも出演の小寺里奈さん。BLITZの高い天井から伸びる2本のスポットライトのもと、絡み合って伸びるピアノとヴァイオリンと声。胸がすくみました。声って楽器もやっぱりすごいなあ。今回一番ライブで聞きたかった曲の「Sagittarius」は、このアコースティックバージョンで聞くことができました(泣)

この後、またステージが暗転して、お片づけかなーと思ったら、どっこい、今度はオルガンが出てきました。まさか、まさか、と胸を押さえて待っていると、スポットに照らされたオルガンのもとに座ったのはミトさんでした。もう、ぶっ倒れるかと思いました。さっきのアコースティックのステージでも充分ドリーミーだったのに、ミトさんのオルガンが聞けるなんて…ライブで聞くのは何年振り?! しかもめちゃくちゃ目の前で! 「Novemver is the Ballade」を演奏してくれました。この1曲だけでした。なんて贅沢な(泣) ああああのバージョン、また聞きたいよう(泣)

この後、声という楽器抜きの「White Cat Waltz」があって、“恒例”のカヴァー曲コーナー。何かな何かな、と思ったら、ミトさんとの思わせぶりなMCの後、Suemitsuさんいわく、「大江千里の」!! 一瞬、「You」か?!と思ったのですが、演奏されたのは「Glory Days」でした。どビックリだよ! 日本広しといえ、今日ライブで「Glory Days」を演ったのはここだけじゃなかろうかー! 会場にいる若者は、まるで新曲でも聞くような顔をして聞いていましたが、一部の、私と同じくらいの年齢の方々は感涙モノで盛り上がっていました。ギターも映える曲で、鈴木さんのギターも堪能できましたし! そして続けて演奏されたのは、Suemitsuさんいわく本当に大好きな曲、なんだそうです、の、「しらけちまうぜ」!! まーじーでーすーかー、マッチもオザケンもカヴァーした、小坂忠の不屈の名曲! 作詩・松本隆、作曲・細野晴臣、編曲・細野晴臣矢野誠の鉄壁の布陣! 演歌ソウルの王道です! これも、ちょい悪アレンジなピアノとちょい悪アレンジなギターがイカしていました。ミトさんも自由に弾きまくり、ドラムも味出しまくりで、みんなこの曲、好きなんだなあと思いました(笑) もう1曲はThe Smithの「Ask」。もうお腹いっぱいです(泣)

それにしても、ミトさん、すごかったなあ。そしてすごく楽しそうで。ギターと、そしてドラムと、ラインが合ったときとかそれぞれと目を合わせてにこーっと笑う顔がほんとステキ。そして客席にも、にこーっ。なんか、目が合ったよな気がして、思わずにこーっとしてしまいましたよ(バカ)

その後も、みな汗びっしょりになりながら駆け抜け、万感の拍手と共にのアンコール。またもやステージ中央にモニターアンプが。まだあるのか隠し球?!と思ったら、なんと、Suemitsuさんがギターを盛って登場! 照れまくりながらでも気持ち良さそうに「Basketball Game Crush」(ベルベット・アンダーグラウンド、だったっけ?)を熱唱&熱演。いやあ、ギターが小さく見えたなあ(笑) 演奏後、すかさず客席から「ギターが小さい」という声が(笑) すると「ギターが小さいんじゃなくてオレが大きいんだよね」と返すSuemitsuさん(笑) それからまたピアノに戻って、2曲を演奏してくれました。最後まで集中とテンションが落ちないバンドで、このまま永遠にステージが終らないんじゃないかと思えるほどでした。この2曲、Suemitsuさんは、客席を確かめるように眺めながら歌っていました。最後の曲では、ピアノを置いてマイクを取ってステージの端まで出てきて、近くから遠くまで、まるでひとりひとりの顔を確認するかのように見ながら歌っていました。大きいのに、怖そうに見えるのに、実はちょっと、内気なSuemitsuさん。でも、今日のこの客席を見て、ちょっと、自信持ってくれたらいいなあと思いました。そして、もっともっとライブをやってくれたらいいなと思いました。「また遊びに来てください」と言って、マイクを置いたあとも、何度も何度も「ありがとう」と言っていました。

私は、もちろん、また遊びに行きますよ! もちろん!