北海道 (2)

「全然観光じゃなくってゴメンね〜」って言っていたけど、その土地に行かなくちゃ感じられないものを感じに行くことが観光なら、札幌の郊外にあるあるお家を訪ねた今日は、どこをどうとっても立派な観光だった、よ。

フラット・コーテッド・レトリバーの熱烈な歓迎を受け、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの寝息を聞き、時計が読めるようになったお姉ちゃんと元気いっぱいの弟と、お父さんとお母さんと、一緒に、ピザを食べたり、お絵描きしたり、Wiiやったり。これは、普通のお家の普通の土曜日の昼下がりなのかもしれない。でもこれらは、私がどうがんばっても現在のところ東京では手に入れられない、私にとっては非現実だった。

駅まで送ってもらって、去って行く車に手を振って、地下鉄への階段を下りたら、やっぱり、涙が出た。「さよなら」っていうと悲しくなるので、「またね」とか「じゃあね」って言ったのに、その効果は全くなく、やっぱり悲しく寂しくなってしまった。

これ以上悲しくなったらシャレにならない。できるだけぎゅっと奥歯を噛み締めて、これから始まるパーティーのことを考えて、帰りを急いだ。