Acoustic Night 「Only Love Can Break Your Heart』」 @ Hall Spiritual Lounge (札幌)

たぶん失業していなかったら、そしてあのとき「だったら金曜日からいっちゃえばいいじゃないですか♪」って言われなかったら、慣行しなかったであろう北海道3days。会社クビになってよかった! 金曜日から来ちゃってよかった! そんな夜になりました。

それにしても、今回のチケッティング、西武観光の練馬駅支店に「こことここに行きたいんです、とくにポリシーはありません」と丸投げだったんだけど、札幌に来てみたら、ライブハウスから100mと離れていないところが宿泊場所でした。西武観光練馬駅支店のおねーさん、GJ!




ライブハウスの名前、Hall Spiritual Loungeなんていうので、壁にサイケデリックなペインティングがしてあるとか、ステージの奥にタイ・ダイな垂れ幕がかかっているとかハコ全体に怪しいお香のにおいがするとかそんなのを想像していたのですが、至って普通の、下北ちっくなハコでした。ほっ。キャパシティは130人くらい、かなあ。

徹夜明けだった私は、ホテルに着くとすぐに爆睡してしまって、ケータイに来たメールで起こされました(笑) 起きたらもうライブは始まっている時間! “メイン・ディッシュ”の登場にはまだ時間があったのですが、せっかくここまで来たんだからここでしか聞けないバンドを聞きたいなあ、と思って、支度をして腹ごしらえをしてライブハウスへ行きました。

てっきり立って聞くのかと思ったら、丸イスが用意されていました。このハコはこの手のライブに慣れているっぽい感じがしました。近藤さんの方はなんどかここに来たことがあるみたいでしたし。壁に近藤さんのポスターが貼ってあったり。

1番最初のには間に合わなくて、2番目のステージから見ました。3人組のユニットでした。坂本展隆(C.T.M.)with留美(F.H.C.)、貢一(C.T.M.)、とクレジットにありました。坂本さんがギターだったりトランペットだったり、あとボーカルで、留美さんという方は、鉄琴とかピアニカとかギターとか。貢一さんという方が、ドラムとヴァイオリン。シンプルであんまりかざりっけのない歌でした、でも、曲によって楽器が変わるのが彩を添えていて、楽しかったです。即席ユニットさんなのかな、これでもっとまとまりが出て、まとまったグルーヴが出せるようになってきたら面白いなあーと思いました。

貢一さんのヴァイオリンの音作りが、私の音作りと似ていてびっくりしました。それで、ライブが終わったとき帰るときに、出口のところでお会いできたので、思い切って声をかけてみました。大人になってからヴァイオリンを始めた方なんだそうです。それでちょっと納得しました。どんな音を作りたいかちゃんと描いて弾いている感じがしましたもん、やっぱり。始めて3年だそうですが、3年にしては、なんていうと失礼ですけど、3年にしてはすごい、という音が出ていました。でも、まだまだ、自分の出したい音に近づけないのだそうでうす。んー、でも、がんばってほしいので、がんばってください!もっと見つかってからのライブを聞いてみたいと思っています!と言ったら、励みになります、と、喜んでくださいました。いや、どっちかっていうと私の方がうれしかったんですよ、自分と同じ方向を見ている人がいるってことがわかって! あと、やっぱりチェロとアコーディオンは音被っちゃうんですね…チェロの方が音域広いけど、広すぎて声とも被っちゃうから、こういうポップスにチェロを使うのは難しいですね。溝口肇さんはよくやったなあ、改めてすごいなあとおもいました。

3番目は松竹谷清、ギター&カズー。カズーをあんなちゃんとコントロールして自分の演奏に取り込んでいる人は始めてみました。松竹さんは、立って弾いてました。ギターをぎゃかぎゃか弾いて、ステージを右に左に動き回って。ちょっとプログレとかトランス系に通じるものがありました(私の大好物方面)。歌はみんな竹松さんのオリジナルで、私が知っている曲はぜんぜんなかったのですが、そんなん関係なく楽しめました。最初に、「今年も近藤さんと演れてうれしいです!」とおっしゃっていました。なんか、いいなあと思いました。こうやって人と音が伝播していくの、いいなあ。

4番目が近藤智洋、ギター&ハーモニカ。あっあのステージ衣装、東京で見たことあるー!シャツでした。近藤さんは、いつものように座って演奏していました。一声目を聞いて思ったのですが、近藤さんのソロの歌って日本語メインなのですが、なんかここんとこ近藤さんが英語の歌を歌っているのばっかり聞いていたので、ちょっと不思議な感じがしました。いつもいつも思うのですが、近藤さんの声とギターの音とハーモニカのマッチっていうか、ああゆうのをマリアージュっていうんだなあ! よく溶け合ってて、思わず寝落ちてしまいそうになりました。こんな丸イスじゃなくって、地べたに座って、か、ソファーにうずまって聞きたいっていう感じなのです。せ、セットリストちゃんと覚えてきれなかった…タイトル覚えてないので…。覚えていたのは、「二人の航海」と「走る風のように、落ちる雨のように。」。

しかし、予定不調和、がありました。明日やるGHEEEの曲を演ります、で、せっかくなのでいつも俺が歌わない曲を、と言って演ってくれたのが「Beautiful stungun」! ギター1本バージョンっていうだけでも驚きなのに、しかも近藤さんボーカルで! 鳥肌が立ちました。それで改めて思ったのですが、やっぱり「Beautiful stungun」って深沼さんの曲なんだなあ。近藤さんが歌うと思いっきり違和感がありました。慣れというよりも、キャラ、っていう感じ。歌詞がやっぱり近藤さんと深沼さんは違うので、近藤さんはそんなこと言うキャラじゃないですよね?ちがいますよね?とひっかかっちゃう。何気にさらっと近藤ターン、深沼ターンとかって聞いてたGHEEEだけど、ちゃんと創られていたんだなあ、と思いました。

5番目でトリが、深沼元昭、ギターのみ。座って弾いていました。黒い大きな、っていうか大きく見えるギター、でした。黒とか濃紺がちなお洋服が多がちな深沼あんにしては珍しく、さわやかエメラルドグリーンっていうかそんな感じの短めの長T。なんかいつもと違う。あと「思い出写真集」という名のカンペを見ながら弾いていました。アコースティックじゃ勝手が違うもんね(^_^;) 長い深沼さんの芸風、じゃなかった芸暦の中でも、ソロでっていうのは初なんだそうです。独りで弾く事があっても打ち込みカラオケが一緒だったり、とか。 今日は、そ、そんな貴重なステージだったのか!

お客さんは、プレイグス時代からのファンの方もいらして、深沼さんが演奏する前に曲名を言う度に「おおっ」っと歓声があがったり、溜息が漏れたりしました。しばらくメロへのだライブがなかったので、深沼さんが日本語で歌っているのを見たのはめちゃくちゃ久しぶりでした。最初の曲、知らない曲だったのですが(『リトル・バッファロー・ララバイ』持ってないんだよなー。売ってないしなー)ギターの音を聞いた瞬間に、うわっこれ深沼さんだ!と思えるようなギターの音で、自分内では久しぶりに歌詞を全く無視してギターの音だけを追っていました。アンプ通しているとはいえ小さな箱なので、ギターの生音が、深沼さんの声が、アンプラグドで聞こえて来て、どの曲も、なんだか始めて聞く曲のような気すらしました。1曲歌うごとに、割と長めの MCが入るっていうのも貴重でした(笑)。あと、深沼さんのことをよく知らないお客さんがいること想定、で、曲のことについて話をしたり、とか。

オレもGHEEEの曲を1曲、近藤さんの曲だけど、すごく気に入っていて、オレが作ったことにしとけばよかったってなくらい気に入っている曲を演りますと言って演奏したのが「My imagination」。近藤さんの“演出”があったので、期待はしていたのですが、現実になったときにはやっぱり、ぞくぞくっとしました(泣)。うわあ、アコースティックバージョンとまた違う、曲の意味が変わらないぎりぎりまでスピード落としてみましたこれが限界バージョン。そしてやっぱり感じる違和感。プレイグスでもメロへでもGHEEEでもない、深沼さんの演奏な気がしました。

そして、たぶん演ってくれるだろうなと思っていた「A Phantom Song」。ここへ来るまで、軽くUS時代シックになっていたところにこの曲は個人的にキビシかったです。泣くかと思ったー。超必死でこらえました。

アンコール。深沼さんと近藤さんと二人で出てきて、じゃあ1曲、と言って。お、となったら「No knock」かな、と思ったらなんと「The winter road」。そのギターアレンジが、もともとの曲だってどっちかっていうとコードがきれいに響く曲なのに、さらに響き感が増されたバージョンになっていました。美しすぎました。この美しさにこの歌詞は反則だ! しかも、コーラスの部分ありユニゾンの部分あり、で、どちらの曲、というより、どちらでもない誰かの曲、みたいな個性になっていました。

き、来てよかった、と、心から思いました。心から。

深沼さんのセットリスト:

1.ブルーズ・フロム・ザ・バスルーム(プレイグス『リトル・バッファロー・ララバイ』)
2.リアル・シング(プレイグスPlagues V』)
3.ラハイナ(シングル/メロウヘッドMellowhead』)
4.凱旋門プレイグスPlagues V』)
5.My imagination(GHEEE『Reconquista』)
6.ハッピー・プレイス(プレイグス『センチメンタル・キックボクサー』)
7.A Phantom Song(メロウヘッド『Untitled』/『Mellowdrome』)
ec.The winter road(GHEEEGHEEE』)