近藤智洋“ワンマン”@lete(下北沢)

GHEEEのツートップのひとりの近藤智洋さんのライブを、年内中に1度見ておきたいなと思っていたのが、年の瀬に実現しました。しかもunplugedなライブ。

私はとうとうPEALOUTのライブを見ることができなかったから、近藤さんのライブアクトってGHEEEのしか知らないのです(返す返すも行けなかった05年フジロックが悔やまれる…)。でも、GHEEEは誰でもないんじゃないかってこないだのライブで思って。なら、近藤さんは、GHEEEのどこなんだろう、近藤さんだけを聞いてみたいと思ったのでした。



下北沢の、251や440へ行く途中のコーナーに、こんなお店があっただなんてというくらい隠れたとこにあるleteというお店(cafe? bar?)が今日の会場。HPで、20人余でいっぱいになっちゃうので予約をと書いてあったので、そんなに大きな場所ではないんだろうなと思ってはいたけれど、予想よりもずっと小さな場所でした。でも、壁は木で、アコースティックな音がほどよく馴染みそうなよい感じの場所でした。そして、ほんとに20人くらいでいっぱいになってしまいました。

お客さんはみんな顔なじみっぽい雰囲気でした。それか、こういったライブには幾度か来たことがある風、でした。女性の方が多かったかな。

キッチンの奥のコーナーが一応楽屋、で、時間になると近藤さんがギターと楽譜と楽譜立てを持って出て来て。お客さんはしーんとしてそれを見守ってて。あまりにもステージと客席とが近い。緊張、しないのかな、とか思いました。一番前に座っている人なんか、手、届くもんね。私のいた場所でも3mくらいしか離れていませんでした。近藤さん、「こんにちは」と言って、ぺこっとお辞儀をすると、お客さんもぺこっとお辞儀をする、が、しーん、みたいな(^_^;) ノリがわからん新参者(ワタシ)は場を乱さぬようおとなしーく様子を見ていました。

「じゃあ、ね、」と、いつもの語り口調しかしちょっとゆっくりめ声小さめで、曲の紹介をして、その間にポケットをごそごそすると、たくさんのコインが出てきました。あー私と一緒だー、ポケットに小銭をぽいっとほおりこむ人! これが個人的にはとても和みました(笑) そのコインの隙間からピックをつまんで、コインはまたポケットに戻す、と。それからハーモニカをセットして、と。特に急ぐ様子もなく、淡々と準備をして、一呼吸置いて、それから演奏が始まりました。

一番最初の曲、知っている曲だったので、「あっこれ知ってる!」と思ったら、またひとつ、個人的に和みました。

最初の2曲めくらいは、まだ場も近藤さんも微妙に緊張しているっぽかったけど、3曲目からかな、急に場の位相空間が変わったのように小さなカフェはライブハウスになっていきました。

近藤さんの、変に客に媚びていない、というか、客本意よりも近藤さんの「今日この瞬間にオレが歌いたい曲!」本意っぽいところがいいなと思いました(近藤さんに聞いたわけじゃないのでその真意はわかりませんが)。それが場の、ライブの、一時性以上の、心地よい緊張感みたいなものを生み出しているような気がしました。それは、ライブとか演奏会とかっていうよりは演劇を見ているみたいだったです。ワンマン+アンプラグドで今まで私が見た事のあるライブの感じとなんか全然違いました。これが近藤さん、なのかな…

途中から、お友達の塚本さんが参加。1曲は塚本さんがソロで歌って、それからこんどうさんと二人で。ギター2本になると、ちいさな空間全体が弦の音で揺れました。そこに、普段しゃべっていても声量のある塚本さんの声と、朗々、というよりはちょっと低めの近藤さんの声が重なり、ハープの音が重なり、感動したっていうよりも圧倒されました。人間ってこんなことができるのかー!、と。その後、また近藤さんがソロで演奏をし始めたんだけど、その場の雰囲気そのままで今度は一人でそれを維持している様が、また圧巻でした(・_・;)

近藤さんのライブスケジュールを見ると、もうほとんど毎日が移動かライブかっていう感じです。OJTなミュージシャン。

たぶん、近藤さんのお友達とか、ときどき共演する人たちって、こんな雰囲気のライブを全国津々浦々で演っているんだよなあ。全国津々浦々で、こんな奇跡が起こっているんだ。

今までギター上手い人の演奏たくさん見てきたけど、今日は、どういう訳か、自分がギターが弾けないことがとても悔しいし残念だと思いました。今までそんなこと思ったことは一度もなかったのに。あの、言葉でも音でも表せないものって、もしかしたらギターでなら伝えることができるのかもしれない。ああ、人に伝わらなくても構わないかも。表現できればそれでいいのかも。とにかく、自分には、そういう手段はないんだ、自分はそれを失ってしまったのだ、と自覚したのは、今日が始めてでした。

アンコールの最後の最後に、「演ってみたらよかったんで、もう一回やっていい?」と言って、もう一度"Fade Into You"を演奏した近藤さん。その時一瞬ちょっとてれくさそーに笑った顔が、前に近藤さんがHPに載っけてた写真の犬「タロー」っぽかったです(笑)

また、行きます。今度はバンドで、見てみたいかもー!



その他:
・近藤さんのステージ衣装は、普段着ではなくて、あれちゃんと“ステージ用”のらしいです。ライブ終ってからちゃんと着替えてました。

・近藤さん、ピアノも弾くのかー! 見てみたかったな。それにしてもこの店いいな。これくらいの広さならアンサンブルとかできそうだ。
http://smashingmag.com/tour/07tr/071101kondo_wacchy.html

・近藤さんHPに掲載されていたセットリスト。直リンできなかったので、ここに。

2007.12.11 [TUE] at lete, 下北沢
“ワンマン”
1. Venus (※THE ROOSTERZ「φ」)
2. OLD GUITAR (※ROCK'N'ROLL GYPSIES「I」)
3. ここから
4. Fade Into You (※Mazzy Star 「So Tonight That I Might See」)
5. Please Please Please Let Me Get What I Want (※The Smiths)
〜Guest : 塚本晃 from NOWHERE (※He plays “デイライト”)
6. ジェネレーションズ (※kaoru「詩人は夜明けにガムを噛む」)
7. 走る風のように、落ちる雨のように。
8. 見知らぬ魂
9. 灯がともる頃
10. ローラーコースター
11. 草原
12. 二人の航海
〜 ENCORE 1 〜
1. 静かな世界へ
〜 ENCORE 2 〜
1. Fade Into You (※Mazzy Star 「So Tonight That I Might See」)
※M6〜8, ENCORE1-1 with 塚本晃

The above listing was compiled by KONDO TOMOHIRO.

・近藤さん、ビアデッド・コリーっていう犬に似ていると思います。静かで陽気(?)なところとか、前髪の隙間から覗いているところとか!

・2007年12月11日現在、近藤さんは携帯電話をお持ちでないそうです。「自宅にいたって滅多に電話かかってこないのに、なんで電話持ち歩かなきゃなんないの?」ごもっとも!