夢の音楽堂・小澤征爾スペシャル

8日は1日、NHKBS-hi小澤征爾祭りで、サイトウ・キネンの生放送も含めて11時間近くの放送だった。

第1部はいきなり13時から18時まで。過去の名演とNHKアーカイブスからの映像を交えて、小澤征爾のこれまでをドキュメンタリー風に紹介したもの。

2005年のNHK交響楽団との「ベートーベン交響曲第5番ハ短調作品67」、いわゆる「運命」のリハの様子があった。凄かった。この時の小澤さんは60代? まあともかく決して若くはない小澤さんが、20代30代の若い演奏家、しかも束になってかかってくるの、に、マトモに相手しているのだ。その気迫はもはや妖怪Ozawa。コンサートは、初めてオケを聞く様な子供ばかりを集めたコンサート。親に「行きない」と言われてきたような子供もいるかもしれない。そんな子供も知っているであろうあの有名な旋律を含む楽曲を聞かせる…そこへきて、その子供が今後クラッシックを聞き続けるかどうかを決めてしまうようなコンサートをキメてやる!っていう小澤さんの気迫が凄い。そしてそれが、楽団員へと乗り移っていく様が凄い。よく撮ってあったな、あんな映像!

まだ初年のころのサイトウ・キネン・オーケストラブラームス交響曲第1番ハ短調作品68」、モーツァルト「ディベルティメント、ニ長調K.136第2楽章」、シェーンベルク「清められた夜 作品4」、どれもトリになれるくらいのクオリティだった。そして、唯一無二のボストン交響楽団によるマーラーの「交響曲第9番ニ長調第4楽章」、これ生で聞いたことあるけど、ほんとボストンの実力をがっつりと感じることができる楽曲、演奏だった。

まだ80年代の小澤さんの、タングルウッドでの様子を記録したドキュメンタリーフィルム『Ozawa』も放送。まだ英語の発音が怪しい感じだった。学生に指導していく様がこれまた鳥肌ものだ。音楽の、ずっと高みを目指すもの同士が、生徒同士、先生と生徒、ぶつかりあう。切磋琢磨ってこういうことを言うのだな、と思った。そして確かに、タングルウッドはそういう場所だった。ああ、懐かしいなあ。また行けることがあるかなあ。

第2部は19時から21時15分まで、なんと長野松本で開催されているサイトウ・キネン・オーケストラのコンサートを5.1サラウンドで生中継、という、NHKじゃないと実行できないような大企画! サイトウ・キネンのコンサートチケットなんて、瞬殺もいいところで、今まで一度も撮れたことがないんだよ〜、それを生で聞けるなんて(泣)

ラヴェルの名曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」、サイトウ・キネンのために集まった即席メンバーとはいえ、みな実力のある人たちなんだよね、ということを、存分に感じさせるほどの完成度の高い演奏だった。デュティユーの「瞬間の神秘」「LE TEMPS L’HORLOGE」、初めて聞いたけど、すばらしい曲だったなあ。これからこの曲を聞く時は、この演奏と比べてしまうのか…辛いな(笑) ベルリオーズの「幻想交響曲 作品14」、小澤さんの、指揮の外観は荒々しく見えるものの、とても細やかな音の繋がりと、全体をまとめてうねってアガっていくさまは、その曲名通り、幻想的だった。サイトウ・キネンは、みんなすごいけど、特に弦がすごい、独特な気がする。

第3部は21時30分から25時。今年3月に「東京のオペラの森」で上演されたワーグナーの歌劇「タンホイザー」の全曲、これも5.1サラウンドで放送。第1部と2部は、録画で見たけど、これは放送で見ました。HDDに空きスペースがなかったので(^_^;)

いやあ、圧巻。こんな素晴らしいオペラを、東京で演奏していたのか! 衣装など演出が現代風になっててすんなり見れたところもよかった。見に行けなかったのは残念だったけど、ウチで、楽な格好で、お気に入りのチェアに座って、コップでワインをちびちび飲みながらチーズとかハニーローストピーナッツを食べながら見るオベラはまた格別でありました(笑)…ウチのテレビの画面がもっと大きくて、5.1サラウンドを堪能できる音響システムが付いているものであったらよかったな(´・ω・`)

オザワ、凄いぜ。彼こそロックだぜ!