情熱大陸「庄司紗矢香」(ヴァイオリン)

TBS情熱大陸、今日は庄司紗矢香さんでした。すっごく大人っぽくなっててびっくりしました。

パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで史上最年少(16歳)かつ日本人初の優勝!というニュースをテレビで見たとき、その幼い姿からひっくりかえるようなテクでもって旋律を繰り出す姿に度肝を抜かれました。

その庄司さんも今、24歳。背もすらりとして髪も伸びて、どこから見ても健やかなる日本の娘さん。TSUBAKIのCMに出れそうです。ちょっと小柄な方なのでヴァイオリンが大きく見えます。細くて華奢で儚い感じすらする彼女なのに、その演奏はものすごくぐわーっと広がりのある音で。こういうのを壮大、って言うんだろうな! 決してパワフルではないのだけど、迫力のある音。広がっていく音をぐいぐいと後押しするようなテクニックの冴えがすごい。

確かに、前に聞いたときには「うおお、さすが技巧派!」という感じだったけど、今日ちょっと聞いた演奏は、もっともっと広がりがあって、その表現力がすばらしいなあと思ったなあ。で、考えると、あの表現力にはそれなりの技が必要なんだな、ああ彼女には揺るぎない技術力があるからなあ、と納得する、という感じ。彼女は、「表現できる色彩感覚」とか「イマジネーション」を感じで欲しい、と言っていました。この感覚がまたすごい。音楽で色を表現しようとしているのか!

ちゃんと彼女の演奏を聞いてみたいなあと思いました。スイスのヴェルビエ音楽祭がまたすばらしいくて。いつか行ってみたいです。

それにしてもヴァイオリンは面白いなあ。ほんと、人によって音が全然違って。そしてクラッシック界の、良いモノの伝わり方、というのも、面白い。ポピュラー音楽よりもまだまだ混沌としていて、いろんなところにスタンダードがあって乱立してて。でも、おかげで、みんながみんな幸せな関係や出会いを築くことは難しいのだろうなと想像する。

庄司さんはコンクールを経てその名を広めて演奏機会を得た人だけど、コンクールに全く出ない五嶋みどり・龍姉弟みたいな人もいる。それぞれの、それまでの人生全てが、音になる。それを庄司さんは「言葉」だと言っていた。彼女の奏でる音楽は言葉なのだと。あえて「表現」と言わなかったところにそうか!と思った。ヴァイオリンの音はもう、もっともっと彼ら彼女らにとって、直接的かつはっきりとしたベクトルのあるものなんだろうな。

五嶋みどりさんと龍くんの音楽について、姉弟の母親の節さんが、こんなことを言っている:

「みどりはすべてを賭けて、聞く人の心をうつ音楽を、龍は本当の悲しみは知らないけれど、悲しみを忘れさせる音楽を奏でる」(http://www.asahi.com/edu/student/tensai/TKY200707030244.html

うわーさすが母親! 二人の音楽をここまで完結にそして的確に言い表すことができるとは!

言葉以外にもなにかメッセージを伝える手段を私も持った方がよいのかも、と最近思います。そうすれば、言葉と再び向き合うことができるような気がします。ああ、練習できる場所さえ手に入れることが出来ればなあ...。