NHK-FM「ライブビート」Mellowheadの巻、OnAir

10月19日にNHK505スタジオにて公開録音が行われた、NHK-FMライブビート」のMellowheadの巻が放送されました。公開録音ライブがすばらしかったので放送をとても楽しみにしていました。
http://d.hatena.ne.jp/gamme/20061019/1161668174

【セットリスト】

01. ブーメランの顛末
02. エンプティ・ハンズ
03. 助走
04. フラッシュバックモーニングアフター
05. ブラインド・タッチ
06. MABATAKI Rewind
07. ひとつのドア
08. Another day, another place
09. コンバーティブル
10. Baby, this is LIFE
11. ラハイナ(1&2メドレー)
12. Tragedy Ramp
13. A phantom song
〜Encore〜
14. シアトリカル

ライブ・ビートのHPで事前にて“予告”されてはいたのですが、「MABATAKI Rewind」「Baby, this is LIFE」「シアトリカル」がオンエア欠番でした。ライブバージョンの「Baby, this is LIFE」と「シアトリカル」は特に好きなだけにショック(泣)。この2曲は、ライブで聞いたときの印象があまりにもオリジナルと違ったので、もはや自分の中ではライブバージョンは「歌詞とコードが一緒の全く違う曲」として認識しているくらい、入れ込みたっぷりの曲だったのに…。

さて。

個人的に「ライブを録音」っていうのにすごい興味があって。ライブの色とか匂いとかをどこまで音に閉じ込めることができるのか。仮にも大学で「撮影録音コース」というところに所属していて、自分は撮影専攻だったけど、録音にこだわる人たちと行動を共にして作品を作っている間に、音は画をサポートするとか作品の一部を担うとかっていう考え方じゃダメなんだ、音が加わることで香り立つ何かが作品に付加されないとダメなんだってことを知りました。

ライブ音源は、無音映画の逆だよね、音だけがある。そこから何を引き出せるのか。どんな場所で演奏していたのかとか、どんな観客だったのかとか、そういうのも音に込めることができるのかな。ライブはもともと生モノでその時だけのものだから、後から再生されたものはもうどう考えてもその時よりも劣ってしまうだろうし、その時そこに居なかった人に、その時そこに居た人と同じように感じろ、っていうのは、無理なことだと思う。でも、同じでなくっても良いと思うんだ、「あっ、わかる!」とか「あっ、感じる!」っていう何かが伝わってくれば良いと思う。

何かが伝わって来るライブ音源マイベスト、は、佐野元春 with the Hartlandのツアーの音源、Ben Folds Live、そして実はベストワンなのが、PLAGUESのレアトラック集「Iskandar」のラストに収録されている「ハッピープレイス」という曲。2001年4月26日の渋谷クラブクアトロでのライブの音源、というクレジットで、私はこのライブは観ていない。そして、他のバンドのクアトロで録ったライブ音源をいくつか聞いたことがあるけれど、「ハッピープレイス」みたいじゃ、ない。

一体何が違うんだろうと思う。演奏以外はみんな同じはずなのに。お客さんが盛り上がっているのは伝わってくる、でも、その感動が、ここに来ない。その感動はスピーカーの向こうにとどまったままになっているように聞こえるのだ。そうすると、なんか、スピーカーのこっちで聞いている身としては寂しいんだよね。あっちは盛り上がってて楽しそうでいいなあ、って。

で。

ライブビート」は、そりゃーもーどきどきしながら放送を待ってました。1曲目、そのどきどきとは裏腹にえっらい低音が落ち着いたビートがラジオから流れて来て、こんな落ち着いた音なのに、ぐっときました。

録音状態が良いってこういうことなのかと。音がはっきりしていて、人の声も、すごい、ひとつひとつはっきり聞こえてくる。ベースならこっち、ピアノならこっち、ギターならこっち、ドラムならこっち、と、どこから音が来るのかはっきりしてて、混じっていない感じがしました。ちゃんと前から音が聞こえてくるー! ベースとかドラムは、他の音と混じっちゃって当たり前、みたいな印象があったのですが、ああほんとはそうじゃないんだなあ。映像があると、自然と映像とマッチする音に意識が向いて拾えるけど、音だけでそれが解るということもあるのだなあ。

ライブ当日、ピアノの前にいたので、ピアノの音の印象がとても強く残ったライブだったのですが、放送でも、やっぱりピアノの音がするとすっとそっちに視線が向かうような気がしました。ここには何もないのに(笑)ギターってこんなに響くんだったっけ、とも思いました。映像がないぶん、突然感がある、というか、音がしてそっちを向く、みたいな印象。次はギターリフくるとか覚えている曲もあるんだけど、やっぱり、音って、音がしてそっちを向く、みたいな知覚なのかも知れないと思いました。目は、遠くに見えてて、それがだんだん近づいてくる…みたいな知覚だけど、音は、あるときからはっきり形になる知覚なんじゃないだろうかと思うのです。うーん自分でもよく説明できないけど!

わあっとした空気というか、圧倒するような空気はあんまり感じられませんでした。でも、それが悪いっていうわけではなくって、そうかあの空気は閉じ込めておくことができない種類のものなのだな、と、あらめて納得しました。その空気を感じたいから私はライブに行くんだな、と。勢いとか疾走感みたいなものは、ある程度閉じ込めることができるのかもしれない、でも、それとはまた違うんだなあ、あの空気!

そしてラジオにはもうひとつ、違った空気があって。その時間、その電波を拾う小さな装置から流れてくるでっかい音に耳を傾けていると、

あの日あの会場で一緒にライブを楽しんだ人は、今どんな風に思いながらこの音を聞いているのかな、とか、あの日あの会場にこれなかった人にはこの音がどんなふうに聞こえるのかな、とか、今、この地球の日本のどこかで、ラジオの深沼さんと一緒にに、それからこのワタシの一緒に「A phantom song」を歌っている人って一体何人いるのかな、とか、そんなことも考えることができる空気がラジオにはあるのです。この小さな単純な装置には。

番組が終って、次の番組が始まって、ちょっと寂しい気持ちが残る感じも、また演出のひとつかな…。

ライブと、放送と、しっかり2度、楽しみました。ありがとう130パーセントです(笑)! 次、次を期待します。次というか続き! 早く、早く!