サントリー芸術財団サマーフェスティバル@サントリーホール

「MUSIC TODAY 21」という副題が付いたフェスですが、「映像と音楽」のプログラムに限っては、TODAYという単語を使うにはいささか古い感がありましたが…。でも、由緒正しき本フェスにおいてこのような試みが行われたことは素晴らしいことだなと思いました!

時間的および経済的余裕があったら、全プロブラム見たかったのだけれど…


アルノルト・シェーンベルク「映画の一場面への伴奏音楽」
シェーンベルク唯一の映画音楽で、かつ、もともと架空の映画のために作られたってシェーンベルクどんだけ妄想家なんだよと思いました(笑)これを東響の演奏で聞けたのはほんとよい体験でした。でも、これだけ素晴らしい演奏でも、シェーンベルクが思い描いていた画を、私たちは完璧に知ることはできないんだよなあ…


アンドレイ・フルジャノフスキー&アルフレート・シュニトケ「グラス・ハーモニカ」
上映を見てみて、こりゃ当時上映できなかっただろう所以が一目瞭然でした。悪魔が人々に金銭を与えたり煽動したりするのだけれど、その度に正しき人が現れて魔法の楽器を奏でると人々は正気に戻り、そして再び力をあわせて荒んでしまっていた社会を再生する人々、っていうストーリー。当時のソ連でこれはNGだろうなあ。

コラージュを有用したアニメの面白さとシュニトケの音楽の作り出す世界観がよい感じ。ストーリーを始め時代を感じる要素はあるものの、今出しても全然古臭くないよ!と思いました。

監督さんが来られてて、当然もういい歳のおじいちゃんでした。革命の時を生き延びてきたその人。上映前は、この作品の背景を話してくださいました。はっきりと力強い方でした。上映後、拍手に促されて席を立ち、また一段と大きな拍手を受けたときの監督の嬉しそうなお顔といったら!当時、こんな日がくることを、監督は想像できていたかな…と思いました。


今日のインターミッションは、紀伊国屋のスフレを頂きました。表参道のエキチカでゲット。


ビル・ヴィオラエドガー・ヴァレーズ「砂漠」
この技術革新の速い時代に置いての1994年の作品、そりゃ古さを感じずにはおれませんでした。もし2011年にこの作品を作るとしたら、ここはこうしたいだろうなと想像してながら見ていました。あと、ヴィオラ氏のこの後の作品もいくつか見ているので、アイデアの既視感とか…まあそれはしょうがないか。

いやー見事に演奏と映像が合っていない(not 悪い意味で)!じりじりと滲むように進行していく二つの時間世界が、ときに近づきときに離れていく様を私という時間が目撃している、そんな感じがしました。

とても珍しいヴィオラ氏のインタビュー映像が見れたことも嬉しいかったなー。こんな人なんだなー、と。なんかエッジが効いている感じが全然ない。フツーのおじさんっぽい、とすら思いました。しかし、静かに語るそのコトバは、なんだか、使命や責任を持ってこの世に発せられているとすら思えるくらい凛としていました。これが、芸術と、創作と共に生きていくことを決意した人なんだなあ…。

東響のもまた、演奏が終わったとき唸ってしまうくらい素晴らしかったです。サントリーホールはスピーカーの鳴りもよかった。プロジェクターは常設のもの?こちらも、そこいらの映画館よかよっぽどキレイでした。今日の日本において間違いなく最高の環境にてこれらの作品を味わえたことは、ほんとうにラッキーだなー!と思いました。