「BIRTHDAY」 INNER SCIENCE Special Premium LIVE

INNER SCIENCEが科学未来館プラネタリウムの音楽を担当する、と聞いたときはキターーーーーーーーーーーーーーーー(°∀°)ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!って思ったね。
http://www.miraikan.jst.go.jp/dometheater/birthday.html

その前はrei harakamiさんが音楽を担当した『暗やみの色』っていうのをやってて、それがすごくよかったのです。3回くらい見に行きました。「MEGASTAR -II cosmos」のあるドームシアターGAIAは、メガスターの映像表現はもちろんのこと、実は音響も凄くよいので、もう頭上に広がる360度の風景と巡る音とでとても素晴らしい体験ができる施設なのです。

rei harakamiさんのときは、オープニングイベントやったりしたので,期待していたんだけど、今回はシリーズ第2だったからか、そういうのはなかったです。

http://www.higher-frequency.com/j_news/october05_d/27/2.htm
http://www.liquidroom.net/night_4per/index.php

でも、今回の『BIRTHDAY』を初めて見に行ったとき、この音楽をInner Scienceのライブで聞きたいなあ!もっと長尺で聞きたいなあ!せっかくのすばらしい音響施設なんだから、もっと爆音で聞きたいなあ!と思っていました。

そうしたら、その夢が、叶いました。3つとも。
http://www.musicmine.com/2009/08/22/birthday-inner-science-special-premium-live//




お台場の日曜日は、陽が沈みかけてからもまだ家族連れやカップルでワイワイとしていました。未来館までの道のりも渋滞。駐車場も満員。こんなにお台場に人がいるときに来たことって、かつてないかも。

閉店間際で、館から出てくる人の波に逆らうようにして入館。同じように通用門の方から入館する人は、先ほど館から出てきた層よりも明らかに年齢高め。親子連れはほとんどいなくって、友達連れかカップルで、か、ひとりで、とかな感じでした。チケットは前売りなので券売機に並ばなくていいし。いつもこのチケット入手は争奪戦なのです。開館と同時に並んでも希望の回とか買えなかったりするくらいの人気なのです。それが今日は前売りなので、開館と同時にダッシュ(大人気ない)しなくてもいいし。

ゆるゆると、最初ロビーに通されて、すっかり人気も音もなくなった中に同じ目的でここに来た人が集められ、それからまたゆるゆると誘導されてエレベーターでシアターのある階へ移動しました。入場番号と引き換えに『BIRTHDAY』のCD+公式パンフのセットを貰いました。これプラス1時間のシアター鑑賞付きで3,000円とは、ほんとお値打ちです。

シアターに入場するときに3Dグラスを借りました。右が赤で左が青で、っていう代物ではなく、もっとサングラスっぽいものです。聞いたところによると、これ、1セット○万円とかするらしいです。

シアターへは先着順に通され、座席はフリーだったにもかかわらず、私の一番好きな席が空いていました。真ん中の、メガスターのすぐ下の席です。じっと集中すると、メガスターの動作音が聞こえる席。そして、座席を倒すと真上に天井のいちばん高いところがくるのです。

いつもの“客入れ”時間からややあって、『BIRTHDAY』の本編が始まりました。前に1回見ているはずなのに、プロローグの音を聞いた瞬間から胸がいっぱいになりました。日常にこぼれている音を拾い集めて、日常では聞かれない音楽を作るINNER SCIENCE。その曲に合わせて広がるのは、やっぱり、ここにあるはずなのに見えていない何億光年の離れた星たちの姿、宇宙のかたち。それらが一体となって眼前迫ります。ああ、前に見に来た時には前に座っていた子供が手を伸ばして目の前に現れた銀河を掴もうとしていたっけなーなんて事を思い出しました。ページを繰るように、淡々と語られるARATAさんの語りが、ドームの静寂さにマッチして、「。」になる度に、すううっと自分の重さが闇の中に沈んでいくような気がするのです。全く、2度目感、なかったです。

エンドロールが流れたあと、ちょっと間があって、あれ客電付かないなあと思っていたら、「みなさん、メガネをはずしてみてください」とのアナウンスが。ARATAさんの声で、でした。そしてメガネを外すと、空には満点の星空がありました。メガスターの真骨頂の、3Dではない星空です。うわあ…、と、思って、寝っ転がったまま(おそらく口を開けたまま)空を見ていたら、ARATAさんの詩の朗読が始まりました。

え、あれ、ホームページに今日のプログラム載っていたっけ? INNER SCIENCEのライブがあるってことは知っていたけど…。ほんとに驚きました。さっきとは変わって、頭上にただただ静かに広がる星空を眺めながら、 ARATAさんの声と言葉に耳を傾けました。詩は、谷川俊太郎さんの詩をふたつ。どちらも私が知っている詩でした。私、題名を覚えるのが苦手なので、ええと…ひとつは「生きる」だったかな、もうひとつはええとなんだっけっかな、子供のときから何度も何度も聞いているのになんだかすっと忘れてしまうくらい自然な言葉たち…

詩の朗読が終わり、頭上の星空が消えると、またメガネをかけてくださいとのアナウンスがありました。そして、INNER SCIENCEのライブが始まりました。映像は『BIRTHDAY』の映像を最初から最後まで通しで。そして今度は、ナレーションはなしで、映像が終わるまでづっと繋げてINNER SCIENCEの音楽が映像に色を重ねていきました。

私にとっては、このライブ版の方こそがINNER SCIENCEでした。いや、『BIRTHDAY』の本編の方の音楽もまちがいなくINNER SCIENCEの音楽なのですが、彼のグルーヴや言葉でなく語られるものは、こんな感じのサウンドとか聞こえ方のほうが「そうだよ、INNER SCIENCEってこういうヤツなんだよ!」感がありました。圧巻だったのは、中盤の、銀河系が形成されていくシーン。宇宙の地理やガスが衝突や融合を繰り返して、星を形成し、銀河を形成していく様が、ぼおっと聞いているとただの音の重なりだったような中からだんだんと気になるフレーズが形成されていって、突出してきたり、また崩れて他の音に交ざっていく、…まさにINNER SCIENCEの音楽のビジュアル化のようでした。そこのところ、本編の『BIRTHDAY』にないような、INNER SCIENCEのアルバム『Forms』にある「Plaited Frame」とか「Fold」みたいな乾いた力強いドラムが立ち上がる感じになっていて、もう無条件にわくわくさせられてしまうのでした。

伯父が物理学者で、宇宙の誕生について研究をしていたこともあって(去年亡くなったのだけれど)、個人的にもこのテーマには特別な想いがありました。今日から、あのシーンこのシーンをこれから思い浮かべるときに、INNER SCIENCEの音が聞こえてくるんだろうなあ。ちょっと嬉しいな、と思いました。

「大切な人と一緒に」ではなかったけど、とても大切な時間を、素晴らしい映像と音楽と語りで過ごすことができて、幸せでした。ショウが終わって館の外に出るともう外にはすっかり夜の帳が降りていました。空は曇っていて、か、街の明かりのせいか、先ほどのような星空ではなかったのですが、お台場の夜風に吹かれてしばらく空を見上げていたい気持ちになり、明かりの消えたジオスフィアを背にしてしばらく夜空を眺めてから帰路につきました。