Sleepydog@下北沢251

最近、音楽活動をしている人・グループはネットで何かしらの展開をしていて、iTunesとかMySpaceとかYouTubeとかなんとかでその音源を聞く事ができます。それはそれでとてもありがたいことだし楽しいことなんだけれど、私は、ライブで聞ける可能性のある人・グループに関しては、先にネットで音を聞いてしまわないようにしています。ここいらへんが、私が先進的なネットユーザーでない所以ですな。

CDも先に買って聞いちゃわないようにしています。いちばんハードルの高いことが出来る目処があるのなら、そこから始めない手はないなあ、と思うのです。



sleepydog official site (ブラウザのサイズが変更されます、注意!)
http://www.sleepydog.jp/

Sleepydogは、音楽の話をよくする友人から聞いていて、是非ライブに行ってみたいなと思っていました。今日はワンマンではなかったけど、私も仕事が抜けられなくてSleepydogのひとつ前のバンドが始まったところからしか見れませんでした。

ひとつ前のバンドは…くわえ煙草で演奏なんつー昭和に絶滅したメタファー引きずって演奏している時点でもう私の中ではさ・よ・う・な・ら、でした。今後必要のない情報だと思ったので名前も覚えてきませんでした。

で、Sleepydog。ひとことで言うと、これからのバンドだ、という感じでした。とてもポジティブな意味で。

Sleepydogいわゆる芸歴、というか、バンド歴はそれなりにあって、でも、バンド組んではいメジャーデビュー!っていうよな路線ではなくて地味にこうやって演奏活動しててその中でいろいろなことがあってそれが音に反映されて…っていうのが、きっとあるんだなあと思えるような、それがまだ今も起こっているんだろうなあと思ええるような、良く言えば発展途上の・悪く言えば安定していない、音でした。しかしそれが、悪くないなあ、という印象で。むしろ、2008年2月14日の夜として、ほっとするような感じでした。

単純に演奏の上手下手なら、Sleepydogよりももっと演奏の上手いインディーのバンドはたくさんいると思います。でも音楽って単純に演奏の上手下手だけじゃないよね、と思います。それはなぜなんだろうっていうことを、私は、どうやったら言葉で説明できるのだろう…どう言い表したらいいのか…うーん、できそうにないです。だからこそ、それは真理である、と、理由も根拠もないのに言えちゃうのかもしれない。でも、なんだろ、Sleepydogのやりたいことを表現するには、もっと演奏は上手くなるしかないかなあ、と思いました。ある程度の表現力には、ある程度の技術は必要だと思うので。むちゃくちゃたくさんの反復練習とか。何かを壊して先に進む為の、何かが。

そして、改めて、声という楽器の強さと、歌詞という思いを伝えるツールの強さを認識しました。そういうボーカルでした。そのどちらもまだ、全然これから良くなる、という、伸びしろとか可能性とかを感じました。今日この日、この夜のライブは、今日までのベスト!って言ってスナップショットを出すっていう表現もあるだろうに、そういう感じがしなったなあ。それを選ばずに、じりじりと、にじにじと、迷っているような失っているような感じ。ここんとこ、ソリッドな、芸歴のある人たちの演奏をよく聞いていた“聞く専門”の身からすると、ちょっと、頼りないな、とも感じてしまうのですが。でも、ああ、そういうのを「せつない」って言うのかも。言っていいのかも。

がんばれ!と、ただエールを送るのも歯がゆい感じがするよなバンドでした。信じてるから、もっともっと練習してくれ!迷ってくれ!悩んでくれ!ブラッシュアップしてくれ! 頼む!、…そんな感じがしました。また来るから、またライブ来るから、キミらもそれまでがんばってくれよ!、と、語尾に「!」を付けて言いたくなっちゃうような。

ライブが終わってから会場でCDを買ったら、メンバーみなさんでサインをしてくれました。

ウチに帰ってきてからCDを聞きました。今日のライブで私が一番好きだった「Simlpe」という曲は収録されていなくてちょっと残念でしたけど、他の今日聞いた曲は入っていました。CDの感じは、私の中ではAthleteが一番近いかな。個人的には、もっと厚みのある音に組み立てた方が声とか曲とかにあっている気がしましたが、インディーで製作となるとこれがある境目なのかも…。もうちょっと、CDならではの冒険とか遊びとかあってもいいかなあ、と。今自分の指向がそうだからかもしれませんが、裏にちょっとストリングスとかキーボードとか乗せるともっと広がるんじゃないかなあと思いました。

あと、今日のステージを見て思ったのですが、やっぱり、Grapevineの西川さんのギターはスゴいなあ、と。あの、全力でオレの大好きな田中くんをサポートするぜ!な姿勢は、希有なものなのだなあと思いました。自分を生かす殺すのライン、あ、線引きではないのかも、混じり具合いの割合い?まあなんかそんなものの配分って難しいんだなーと、改めて、思いました。

とても、ほっこりとした歌を聞いたはずなのに、どうにも心落ち着かない夜なのでした。