英ヴァイオリニストTASMIN LITTLEが、ニュー・アルバムを無料ダウンロード配信

昨年10月にRadioheadがニュー・アルバム『In Rainbow』をダウンロード配信にて先行リリースしその購入価格をユーザーの自由設定とした試みが、音楽業界のみならず我々音楽愛好家(なんか適当な言葉が見つからないな)にも様々な“これからの私たちが考えること”を投げかけました。

例えば:
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/dae0754607bc88c4e60ec02ee1ae3c3b
http://anond.hatelabo.jp/20071107165610

その“余波”は未だ健在、です。いやこの波はもう納まることはないと思いますが。



『In Rainbow』のダウンロード配信に「インスピレーションを得た」ヴァイオリニストのTasmin Little (タスミン・リトル)が、ニューアルバム『The Naked Violin』をオフィシャルサイトで無料ダウンロードを始めたというニュースを、15日に聞きました:
ダウンロードは彼女のオフィシャルサイトで実施されています。そう、オフィシャルなのです。

http://www.tasminlittle.org.uk/


タスミン・リトルったら超大物ですよ! Amazon.comで検索するとソロを取っているアルバムが20枚くらいどどっと出てきます、そんな人です。NYCでタスミンのコンサートに行った事があるのですが、もちろんリンカーン・センターでした。そんな人が、クラッシック界の大御所として、か、下降気味な業界を牽引していかなくてはという使命感からか、…いや、きっともっとフツーに単純に「もっと多くの人に、堅苦しいと思っているクラッシックを聞く機会ができればいいな♪」と思ってのことではないかな、とにかく、きっちりと実力のある人が、そのソロアルバムをタダで配信っていうんだからタマゲました。

『The Naked Violin』に収録=ダウンロードできる楽曲は、バッハとイザイといった“定番”と、ポール・パターソンという最近の人でした。このバッハの曲は、誰もがどこかで聞いたことがあるなと思うような曲です。

ポール・パターソン、知らなかったー。私は今回初めて聞きました。良い意味で、新しさが何もない。うーんポール・パターソンのことを表現するのにあんまりいい言葉じゃないなあ…誰もが知っている調べ、というか、誰もが共通に持っている心地よい調べをくっきりはっきりと具現化した感じ。初めて聞くのに妙に心地よく馴染む曲でした。

ああそれも、タスミン・リトルのヴァイオリンがあってこそ、かもしれません。押さない個性。カバーフォトのように、豊かな表情のあるほっこりとした音調です。ほっとするというか…ライブで聞きにいったら、ホールで調べを聞きながら私は寝てしまうかもしれません(^_^;)

この企画には、いろいろ興味深い要素があります。ダウンロードページのアドレスには「free_cd」の文字があるところからして。潔い。すがすがしい。

まず、タスミン・リトルは今回の企画を「Tasmin's Three Step Challenge」として明記しています。

Step1:私の紹介トークを聞いて、CDをダウンロードしてね。
Step2:この曲たちを聞いたり、曲たちにを理解する時間をちょっと作ってみて。そうしたら、私に、この曲たちの何が好きだったか(好きじゃないってことでもいい)教えてね。
Step3:コンサートに行ったり、CDを買ってみてね。そうしたいけどそうできない人は、何があなたの障害になっているのか私に教えてね!

彼女の思いが、伝わってきます。

この「紹介トーク」がまたすばらしい。タスミン自身の声でそれぞれの楽曲の作者の紹介をしているのですが、何が原稿を読んでいるように感じられないから、これが彼女の作者感なのだろうなと思います。続いて、それぞれの曲の紹介。これも、彼女の、その曲に対するイメージとか演奏するときに表現しようとしているものを感じとる縁がわかって興味深いです。

紹介トークと全ての楽曲は、一曲が途切れなく1つのファイルになったバージョンと、楽章ごと(トークは章ごと)のファイルになっているバージョンがあります。また、楽曲の方は、通称“iPodフォーマット”の.m4aフォーマットと320Kbpsのmp3フォーマット、192Kbpsのmp3フォーマットと3種類のフォーマットで用意されています。リッチなインフラで接続していない人のことも考慮にいれつつ、320Kbpsったら、え、もう、まんまCDクオリティー。「いやほらさ、ダウンロード版はデジタルだっていいつつ所詮はエンコーディングクオリティ低いからやっぱCD買うでしょ?」というゴタクは通用しません。他の2人に比べるとちょっと知名度の低いポール・パターソンに関しては、スコアのダウンロードのリンクがありました。その隣りには、スコアの販売リンクも。CDのジャケットのグラフィック・ファイルもアップされていました。

アルバム・プロデューサー、エンジニアの名前と一緒に、「mp3クリエイション」のクレジットが。なんと、このアルバムをレコーディングしたのは1月5日、とのこと。配信を開始したのはいつなのでしょうか? 15日からだったとしても破格のスピードリリース! 普通のCDとかだったら有り得ません。

すごい、“あっち側”にいる人だったらこんな答え方ができるのか、と思いました。




これで終わっちゃだめだよね。タスミンのCDをすっかり堪能しました!ので、Step1は終了とし、Step2へと移行することにしました。おおっと、どうせメールを出すのなら、Step3で何をしたのかってことも書いた方がいいかな、と思って、同時にStep3も慣行することにしました。思えば、去年はクラッシックのコンサートとかライブにあまり行かなかったなあ。

練馬区では、練馬文化センターで割と頻繁に、そしてリーズナブルな価格でコンサートを行っています。区のイベントって文化センターまで行かないとチケットが買えないと思っていましたが、今や、オンラインで、イベントのスケジュールのチェックはもとより空き状況の確認、チケットの予約ができます! で、2月にヴァイオリンのリサイタル、3月に練馬区民オーケストラのコンサートを予約しました。2月の末には叔母さんのピアノコンチェルトのコンサートもあります。あっ、2月の頭に佐渡裕指揮のシエナ・ウインド・オーケストラのコンサートもあるんだあ…当日券あるみたい。佐渡さんは30日にCDとDVDが出るし、行ってみたいなあ…。

何かライブに行ったら、タスミンにメールを書こうと思います。