ROCK'N'ROLL JOINT STRUGGLE Vol.7 -The Groovers & GHEEE @ Club251

これはほんとにほんとの意味での忘備録です。グルーヴァーズ(なんかカタカナの方がしっくりくるんだよね)presentsのライヴ、対バンはGHEEEGHEEEはこれがデビューライヴ。すんごいライヴだったです。

GHEEEはまだ音源が出ていない。なのに、今週はGHEEEの予習やった!って言えるくらい、この1週間に起ったできごといろいろはぐぐーっとこのライヴに集約されていったような気がする。今振り返ってみるとね。


  初めてのGrapevineのライヴ
  GHEEEのインタビュー
  "ロック嫌い"なレーベル主催者かつレコ屋店員のHさんとの対話
  "ロック嫌い"なアーティストの「personal rock」というタイトルのCD
  そのインタビュー。
  私の中で"この人こそロック"っていう人と友人たちとのおいしい夕食と対話。

GHEEEのインタビューで深沼さんが言っていた「無駄のないギターロックバンドにしたかった」「自分が考える"単なるギターロック"」「自分的な歴史や経験をそぎ落として」「「人力ってすげえな」と思いました」の文言が音になったらっていうの、それはもう期待してました。妄想してました。でも、今日のGHEEEは、それをいい意味で裏切ってくれたなあ。それはつまり「人力ってすげえな」ってことなんだけど。

そう、私はギターが好きなんです。ギターバンドが好きなんです。そんな"一般市民ギター好きでギター弾いていたけど事故で右手が不自由になって今は弾けません残念です"な人から見て、GHEEEは、ほんとにギター好きでギター弾きたいって人がギター弾く曲を作りましたっていったらこうなります! んでそれをオレらが演るんですっていったらこうなります! という、そのものでした。それが、深沼さんも考えていたことだとしたら、うれしいなあ、ギターっていう共通言語を通して、ほらここにも、同じことを思っている人いたじゃん!みたいなね。

私は、近藤さんのことはよく知らないのだけれど、深沼さんの曲は今までたくさん聞いたしライヴにもいくつかいっているので、なんとなく「これは深沼さんだ」みたいなのが私の中にはあって。GHEEEには、確かに「これは深沼さんだ」っていうのがあったなあ。ギターがカッコいいサウンドが、次から次へと。でも、深沼さんが表に出る曲は、深沼さんのギターのカッコいいところがちゃんと出てた、そういう音だった。深沼さんのすんごい特徴的なカッティングとか、アップで切って行く音とか、前の響いた音に細かく重ねていく音とか。太くて真っすぐなノイズ、マイナーもメジャーも同じ濃さで重くできるテクニック。どんな楽器もそうだけど、これが深沼さんだっていうのが深沼さんのギターにはある。もちろん、近藤さんのギターにも、藤井さんのギターにも。で、私は、深沼さんギターの音が、好きなんだなあ。そして、自分の音をよく知っている本人が、それをカッコよくプレゼンスする曲を作るわけだから、それがカッコよくないわけないよね!

多くのロックなサウンドを奏でる人とか奏でたい人は、キレることを目指しているけど、GHEEEはキレていなかったなあ。キレはあったけど、クールで、ベースとドラムは、ねっとり、というか、また独特のグルーヴがあった。私はどっちかっていうとこの「ねっとりグルーヴ」は苦手なんだけど、今日は、ああ今日はこうじゃなきゃだめだ、と思われせる説得力があった。

近藤さんのギターも、また独特で。誰に似てるかな、とか、何かに例えると、と、考えると、思いつきません。もっとも今日は、ステージ(っていうか、深沼さんのギター)にかぶりつきポジションだったので、深沼さんのギターのアンプの音と、ベースの音が、位置的にがんがん耳に飛び込んで来て、全体がちょっと掴み切れなかったのです。

GHEEEは「(「このバンドで日本のロックシーンを変えてやる、みたいな意気込みもないですか」という質問に答えて)ないない。シーンの中での立ち位置とかね。そういうのもぜんぜん考えてないしね」と深沼さんが言っていたのは、単純に「日本のロックシーンを変えてやるなんて思っていない」「意気込みない」っていうことなんだと思っていたけど、そうではなくて、「シーンの中での立ち位置」という縛りのある現存音楽シーンへのアンチテーゼなんだなあと思った。「シーンの中での立ち位置」がはっきりしていないと、ダメなのか、っていう問いへの、ひとつの答え。それはこないだ、Nona Reevesのゴータさんが「歌スタ!」で「武道館に行きたいんじゃない」といっていたのに通じるものがある気がする。それが、某氏が、「誰かがダメっていったら、やめちゃうの? そうじゃなくても、やるでしょ。できるんだよ」といったのに通じるものがある気がする。GHEEEは、文字通り、他には代え難いいっこの存在ではあるのだけれど、それが売りでない、ってことが、すごい、潔いというか、おもしろいというか。ああれはあんなものを食べた音だ、とか、これはあんなものを食べた音だ、とかっていう、ギターのミームがあっちこっちに活きているのだけれど、もうぜんぜん、深沼さんなんだよなあ。そして、あっこんな深沼さん知らない、って思ったところはたぶん、近藤さんなんだね。それか、新しい深沼さんなのかもしれない。PLAGUESとかMellowheadのロックと、また違ったから。

今日聞いた曲は全て今日初めて聞いた曲なんだけど、聞きながら、これは深沼さんと近藤さん、どっちが作った曲なんだろう、と思いながら聞くのが、またちょっと、楽しかったです。深沼さんじゃないっぽい言葉を深沼さんが歌う。深沼さんっぽい言葉を、近藤さんが歌う。でも、ほんとうに深沼さんと近藤さん、全然違う人なので、一緒に歌うとなんか混ざっちゃう感じがしたなあ。ギターのユニゾンはバラバラに響いても頭の中で組み立てられるけど、声はなんか、そういかないみたい。曲は、どっちが歌うって、分けた方がいいかも、と思いました。

7月25日発売予定のデビューアルバム、は、深沼日記によると、深沼さんがMIX作業をしているみたいです。きっと例のごとく、お一人でコツコツされていらっしゃるんだろうなあ、と。こんなふうなの、を、おひとりで。楽しみです。そしてまた、そこに、知らない深沼さんがいたりするんだろうか。ほんとに深沼さんはびっくり箱だなあ! 次から次へといろんなことやってくれて。ニンゲンってすごいなあ。

GHEEEは、確かにすごかったけど、ひとりひとりの技術であるとか雰囲気であるとか、ほんとすごいんだけど、でも、全体としてみるとやっぱりちょっとまだまとまっていなくて、こなれていなくて。一人一人の芸歴は長いけど、ああデビューライヴなんだなと思いました。

そこへきてグルーヴァーズ。「俺たちも今日1stライブ…とかいいてーなあ!」というセリフに心から笑えるほど、がっつり三つ組な、その看板に偽りなし!のグルーヴ。曲目はおろか初めて聴く曲ばかりなんだけど、その選曲がすばらしく、藤井ギターの魅力を再確認させてくれるサウンド群だった。個人的には、やっぱりああゆうベース(ワタシ語でいうと、ひとつの音が浅いけど音同士が被る)とかああゆうドラム(ワタシ語語でいうと、リズムが前刻み気味)は、ちょっと苦手なんだけど、もうね、グルーヴァーズはこれでないとダメだ!って素直に気持ちよく思いました。

そうそう、サプライズがあった。藤井さんが「俺と深沼くんの共通の友達の曲をやります」って言って、佐野元春さんの『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』をやったのだ。グルーヴァーズったら『BORDER』の中で「ニューエイジ」を演っててその印象が強かっただけに、グルーヴァーズは「ニューエイジ」だろ、みたいなのが私の中に出来上がっていたのだけれど、ああ私が間違っていました(^_^;) それにしてもまた、佐野さんとも佐橋さんとも違うギターソロ。藤井さんの音=藤井さんじゃないと弾けない音、での、ソロ。かっこよかったなあ!

藤井さんのMCも面白かった。アイゴン&高桑さんのレベル! 最初のMCでは「こんばんは、プレイグスです!」とか言うし、曲の終わりに「ありがとぅ!」って言ったあと「どうもありがとう!」って言い直すし(笑)。「髪はオールバックなのにベルボトムにショーゲキを受けた」話とか。えらい新人類が現れたものだと思ったって…さすが深沼さん、びっくり箱だなあ(笑)!

最後に、ギター3本でグルーヴァーズの曲をやりました。それぞれの、個性って言っちゃうと白々しいほどの、ひとりひとり違ったギターを聴かせてくれました、魅せてくれました。

やっぱりここにSさんがいて、後で今日のライヴの話をしたかったなあ、と思った。あ、あと、IさんとかMMさんとか! でも、誰とも話せなかったわけじゃないから。MNさん、一緒に行ってくれてありがとう。YちゃんとRさん、後で話、また、したいなあ。

ああ、忘れてもいいように書いたつもりなのに、今心から思う、今日の夜のことは忘れたくない。一生忘れたくない。深沼さんの着ていたTシャツの胸にあった「Forget Me Not」。

No, I won't. I wish I won't!